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焦点:サウジが原油相場は「沈静化」と表明、60ドル容認を示唆か | Reuters

石油輸出国機構(OPEC)で中心的役割を果たすサウジアラビアは、市場への過剰な原油供給を容認する戦略が意図した成果を生み出し始めたのをみて、自らの主張が正しかったことが証明されたと感じている。


世界的な供給過剰により、原油価格は昨年6月からことし1月までに60%下落し、北米の産油国を含むOPECの競合国が、高コスト原油の減産を余儀なくされる兆しも出始めている。


サウジは昨年11月のOPEC総会で、シェール原油や他の競合相手から市場シェアを守るために、減産をしないよう加盟国を説得した。その後、2015年に入って原油価格は1月の安値である45ドル近辺から60ドル前後まで回復しており、サウジが望んだよりもずっと早くその時は訪れた。


サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は、原油価格が反発した後の最初の発言の中で、原油需要は拡大しており、市場は「沈静化した」と述べて、現在の展開に満足していること示唆した。


前日には湾岸諸国のOPEC加盟国幹部代表が、原油価格は現行水準で安定し始めており、実質的に1バレル=60ドルで定着していると指摘。その上でOPECの臨時総会の開催は不要との認識を示した。


OPECウォッチャーでメドレー・グローバル・アドバイザーズのヤーセル・エルグインディ氏は「御覧なさい、必要なことが起きる形で全てが起きている、とサウジは言っている。他の国は設備投資を減らし、生産の伸びは鈍化し、価格の下落が需要を刺激している」と語る。


OPECの主要産油国であるサウジは、世界で最も安い原油の生産国でもあり、生産コストは1バレル当たり数ドルとされる。


米国のシェール革命の基になった、硬い岩盤から原油を採掘する最新技術は割高で、生産コストは25ドルから80ドルまでさまざまだ。


エルグインディ氏は「もちろん、主要な不明点は米国の原油生産にどの程度の回復力があるかだ。相場が新たなパターンに適用するまでには、さらに数カ月間以上を要するだろう。原油の公正価値を見極めるまでに1─2年かかるかもしれない」と指摘。


その上で「需要と供給が合理的な軌道に乗るためには、価格が60ドルにとどまる必要があるだろう。もちろん、一定の状況の下では一時的に40ドルや80ドルをつけることがないという意味ではない」と話した。

スウェーデンエネルギー庁の供給セキュリティに関するシニアアドバイザーを務めるSamuel Ciszuk氏は、ヌアイミ氏が「沈静化」と発言したことは、彼が現在の価格に満足していることを示唆しているとみている。


Ciszuk氏は「つまりヌアイミ氏は、平均的にみて現在の価格または幾分低い水準を望んでいる。実質的にヌアイミ氏は在庫の増加に問題はないと言っており、むしろこの先に在庫増に対応する緩やかな需要の伸びを見越している」と指摘した。


米国のシェール原油生産の伸びは、ことし下半期まで減速が始まることはないと予想される。つまり、世界の需要の積み上がりが加速し、原油価格はさらに下落圧力を受ける可能性がある。


それでも、原油価格が長期にわたって1バレル=60ドルを下回る水準で推移すれば、OPEC加盟国の中で伝統的に高い原油価格を主張するタカ派ベネズエラアルジェリア、イランはもちろんのこと、資金豊富なサウジにとっても問題となるだろう。


ペトロマトリックスのオリバー・ジェイコブ氏は「ヌアイミ氏が、沈静化を望んでいるので原油の話はしたくないと言っているのは興味深い。OPEC総会後、サウジ、クウェートアラブ首長国連邦(UAE)の石油相はニュースに登場し、口先介入で相場下落を誘導しようとした。彼らは当時、原油の話をしたがっており、(ヌアイミ氏の現在の発言は)恐らく彼らが目標を達成したことを示すもう一つの兆候だ」と述べた。


ジェイコブ氏は、西側とイランの核をめぐる協議も不確定要素だと付け加えた。対イラン制裁の緩和につながる可能性があり、日量100万バレルの原油が市場に追加的に放出される可能性があるからだ。


同氏は「核をめぐる何らかの合意が出た場合、OPECの役割や現在の原油相場における立場をめぐって、再び憶測が飛び交う」とみている。