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江見 卓司

(承前)困難にある時、先人は古典へと帰った。1942年、日本が開戦すると、小林秀雄は実朝や西行を読んだ。ルターは聖書を読んだ。同じことが、今、可能ではないか。岩下壮一『信仰の遺産』を読むとは、懐古趣味ではない。今を照らす光を求めての切実な営みである。

山本芳久

岩下壮一『信仰の遺産』、アマゾンでも「在庫あり」になりました。バルトやオットーのような同時代の神学者宗教学者と対峙しながら、アウグスチヌスやトマス等の古典を深く読みこみつつ独自の思索を展開した、日本語における神学探究の一つの原点です。http://amzn.to/1MLGi0n

山本芳久

岩波文庫版の岩下壮一『信仰の遺産』には、底本にはないおまけがついてます。ルターやチェスタトンについてのエッセイ、キリスト教についての入門的なラジオ講演などです。底本に収録されていた15篇の論文と、これら6つのエッセイを合わせて読むことによって、岩下壮一の全体像が浮き彫りになります

山本芳久

岩下壮一『信仰の遺産』に含まれている「成義の神学」「成義の本質」「成聖の神学」「成義の信仰と恩寵の意識」といった論考は、恩寵と自由意志との関係というキリスト教神学の根本問題について書かれた日本語で最も優れた論考です。カトリック神学とプロテスタント神学の対話に資するものでもあります

山本芳久

翻訳のない時代に、実践活動に従事しながら、その合間を縫って『神学大全』をラテン語原典で複数回通読した岩下壮一のテクストには、明示的に引用されていない時でも、トマス・アクィナスの精神が隅々まで浸透しています。個別研究が遙かに進んだ現代におけるトマス研究書にはないインパクトがあります

山本芳久

明治維新以後の我が国における西洋哲学の受容においては、古代ギリシア哲学や近代哲学と比べて、中世哲学は看過され、翻訳や研究において大幅な遅れがありました。その遅れを取り戻してあまりある仕事を展開したのが、『信仰の遺産』の著者の岩下壮一と、その教えを受けた吉満義彦です。