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小峰法政大教授:2年で2%の物価目標の修正を - Bloomberg

法政大学大学院の小峰隆夫教授は日銀が掲げる2年で2%の物価目標の達成は「オーバーコミットメント」で逆に金融政策の手足を縛っているとした上で、長期的な目標として修正し緩和的なスタンスを継続すべきだとの考えを示した。


小峰氏は23日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「2%のインフレターゲット目標自体は自然だが、2年間と区切ってしまったことは大問題だ。金融政策だけで物価を簡単にコントロールできないという理屈で他国でも例がない」と指摘。当初の目標にこだわらず、「長期的に目指すべき目標が2%と直せばよい」と述べた。


黒田東彦総裁は2013年4月の量的・質的緩和の導入時に2年で2%と時期を区切り、達成が困難になった場合はちゅうちょなく追加緩和する方針を示していた。これに対し、小峰氏は「最初の段階で威勢よく切ったたんかは日銀の強固な意志を示す材料になったが、2年後になってブーメラン効果で戻り金融政策の手足を引っ張っている」と指摘する。


原油安を理由に昨年10月に実施した追加緩和についても「原油安は日本経済にとって悪いことは何もない。本来しなくてよかった金融緩和によって円安を起こし、その効果を消してしまった」と述べた。さらに目標の基準を現行の生鮮食品を除いたコア消費者物価(CPI)ではなく、エネルギーも除いたコアコアに変更すべきだと語った。


コアCPI は原油価格の下落を理由に6カ月連続で伸びが鈍化している。1月は前年同月比2.2%上昇で、消費増税の転嫁分2.0ポイントを差し引くと0.2%上昇にとどまった。黒田総裁は17日の記者会見で原油価格次第で消費者物価がマイナスに陥る可能性を示唆しながらも、「2%の物価目標を2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現する方向に全く変わりはない」と基本姿勢を変えなかった。


小峰氏は東京大学経済学部卒業後、旧経済企画庁に入庁し物価局長、調査局長を歴任した。国土交通省国土計画局長に転じた後、2002年に退官。現在は内閣府景気動向指数研究会の委員も務めている。

今後の追加緩和の可能性については「これ以上追加緩和しても効果はない。国債が日銀預金に置き換わるだけ。国債が買えなければ指数連動型上場投資信託ETF)や不動産投資信託(Jリート)を買うしかないが、これは非常時の政策。やり過ぎれば市場が機能しなくなり、出口がますます遠くなる」と、否定的な見解を示した。


その上で、「誰が考えても異常な緩和をしている。どこかで正常化しなければならない。市場のセンチメントの転換は避けられないが、出口の議論をしたからすぐ緩和を止めると言う訳ではない」と述べ、早期に出口戦略の検討を始めるべきだと主張した。


小峰氏は金融緩和による円安は生産増によって設備投資を増強したり、正規雇用を大幅に増やすというプラスの循環にはなっていないとも指摘する。その背景について「輸出企業は値段を下げず、手っ取り早く企業収益を増やす道を選択した。海外生産を増やし、国内生産を増やして輸出する道は捨てたのではないか」とみる。


政府は今夏にも2020年度の基礎的財政収支(PB)の黒字化に向けた工程を示す財政健全化健全化計画をとりまとめる方針だ。内閣府の試算では17年に消費税率を10%に引き上げても9.4兆円の赤字が残るが、安倍晋三首相は10%以上の消費税の引き上げで税収を増やすことは考えていないとし、経済成長に伴う税収増を目指している。