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焦点:米為替報告書、日本財政を批判 緊縮的で緩和依存度高い  | Reuters

財務省が9日公表した為替報告書は、日銀の金融緩和への依存度が高過ぎるとし、財政についても2015年度予算が前年比ベースで緊縮的であると指摘した。


成長戦略の実現性についても疑問を投げかけており、全般的にアベノミクスへの批判的なトーンが目立っている。米国からの「注文」は、日本政府の経済・財政運営にも影響を及ぼす可能性がある。

半期ごとに公表される為替報告書では、各国のマクロ経済運営に対する米政府の見解が示される。今回はドル独歩高が米企業業績の下押し要因にもなりつつあるなかで、ドル高と各国通貨安に対する記述が目立っている。

日本については、財政再建の行き過ぎや金融政策への過度な依存を避けるよう警告。「為替誘導を目的とした外国資産の購入は行っていない」と介入を行っていない事実を記載。日銀の量的・質的緩和(QQE)の結果として大幅な円安が進行した事実に言及した。この点が、市場関係者の一部で「現状程度の円安容認」と受け止められた。


ただ、ドル/円JPY=EBSが102円付近で推移していた2014年7月に国際通貨基金IMF)が「日本経済の中期的な基礎的条件と概ね整合的」と論評した経緯に触れた。この点を市場がえん曲な「円安けん制」と受け止めるのかどうか、今後の動向が注目される。


また、米有力シンクタンク年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外国株・債券購入拡大を「為替操作」と批判していたが、今回の為替報告書では、何ら言及はなかった。

成長戦略については、農協改革を評価しつつ「政治的にセンシティブな分野で野心的な改革を遂行できるか疑問」と指摘。環太平洋連携協定(TPP)による農業や医療分野の改革が、日本経済の成長にプラスになるとの見方を示した。

今後、日米間での議論だけでなく、政府のマクロ経済政策のスタンスにも影響を与える可能性が出てきたのが、財政をめぐる米側の「注文」だ。


2015年度予算で公共投資などの政府支出が、前年度比で減少した点を「緊縮的」と表現した。


さらに「物価上昇が、緩やかな名目賃金上昇を相殺している」とし、「新たな政府支出の不在」や前年度補正予算の反動などから「15年度(訂正)財政は顕著に緊縮的」と論評。「日本の景気回復の持続性や内需の強さには、依然疑問が残る」と、財政支出のあり方に疑問符を投げかけた。


安倍晋三首相は、消費税率10%への引き上げを2017年4月に延期したが「財政は引き続き緊縮的」であるとし、日本政府は「中長期的に債務を制御する信頼に足る計画が必要」と述べつつ、「急速な財政健全化を早期に強調しすぎると、日本の景気回復や改革に水を差す」と懸念した。

政府内では今夏に策定する中期財政計画をめぐり、従来から掲げる2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化と並列する形で、債務の対国内総生産(GDP)比改善や、政府保有資産を差し引いたネットベースでの債務も目標として採用すべきとの声が出ている。


米国が日本の財政政策のスタンスを「緊縮的」とした波紋が、国内における政策判断にどのように影響するのか。首相官邸財務省などで、財政再建ペースに関し、温度差があるとみられているだけに、政府内の議論に影響を与える可能性もある。