アジア・アフリカ首脳会議に出席するため、インドネシアを訪れている安倍総理大臣は首脳会議の会場となっているジャカルタ市内の施設で日本時間の午後7時前から、およそ30分間にわたって、中国の習近平国家主席と会談しました。
会談の冒頭、習主席は「先のAPEC=アジア太平洋経済協力会議での会談は重要な意味があった。中日両国民の共同努力の下で、ある程度、中日関係は改善してきた。せっかくの機会なので中日関係の発展について、安倍総理大臣の見解を聞かせてほしい」と述べました。
これに安倍総理大臣は「去年11月の首脳会談以降、日中関係が改善しつつあると評価している。日中関係の発展は、日中両国・国民の利益であり、戦略的互恵関係の推進によって、地域や世界の安定、繁栄に貢献していくことはわれわれの責務だ。青少年の交流を含め、さまざまなレベルで交流と対話を深めていくなかで、日中関係を発展させていくようともに努力を重ねていきたい」と応じました。
そして、両首脳は日中両国が戦略的互恵関係を推進していくことで地域と世界の安定と繁栄に貢献していく必要性があるという認識で一致しました。
また、安倍総理大臣は、習主席が歴史認識について尋ねたのに対し、「私自身も私の内閣も、村山談話や小泉談話を含む歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく。きょうのアジア・アフリカ首脳会議での演説でも述べたとおり、日本は先の大戦の深い反省の上に平和国家として歩んできており、その姿勢は今後も不変だ」と述べました。
一方、習主席が、中国がAIIB=アジアインフラ投資銀行の設立を提唱していることに触れたのに対し、安倍総理大臣は「アジアの高いインフラ需要に応えるためのものだという認識は共有しているが、その一方で組織のガバナンスの問題や、借り入れ国の債務の持続可能性といった課題について、問題を提起をしている」と述べました。
インドネシアを訪れている安倍総理大臣は22日、去年11月以来5か月ぶりに中国の習近平国家主席との日中首脳会談に臨み、その詳細が日中外交筋の話で明らかになりました。
それによりますと、安倍総理大臣は中国が提唱するAIIB=アジアインフラ投資銀行について、「アジアのインフラ需要が増すなかで、これに対応する金融システムを強化する必要があるという認識は共有しているが、組織運営など、いくつかの懸念があるので事務的な協議を進めたい」と述べました。
これに対して習近平国家主席は「AIIBは国際的に一定の評価を得ており、日本の評価が得られると信じている」と述べ、日本の加盟に期待感を示したということです。
また、習主席は歴史認識を巡る問題について、「アジアの国々の関心でもあり、歴史を直視することを対外的に発信して欲しい。中国は、ことし抗日70周年を迎えるが、特定の国を標的にはしない」と述べたということです。
そして、習主席が「両国関係の基盤は国民感情だ。それを良好なものにするために、われわれリーダーの姿勢が大事だ」と述べたのに対し、安倍総理大臣は「私自身も私の内閣も、村山談話や小泉談話を含む歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」と述べたうえで、国民感情の改善に努める考えを示したということです。
中国 日中首脳会談「関係の改善の方向を示すもの」 NHKニュース
安倍総理大臣は、22日、インドネシアで、中国の習近平国家主席と去年11月以来、2回目となる日中首脳会談に臨み、日中両国が戦略的互恵関係を推進し、地域と世界の安定と繁栄に貢献していく必要性があるという認識で一致しました。
この会談について、中国外務省の洪磊報道官は、23日の定例の記者会見で「今回の会談は、疑いなく、両国関係のさらなる改善や発展の方向を示すものだ」と述べ、今後の日中関係の一層の改善に期待を示しました。
一方で、安倍内閣の閣僚が、23日、春の例大祭が行われている東京・九段の靖国神社に参拝したことについては、洪報道官は「われわれは断固反対する。日本が侵略の歴史を直視して深く反省し、軍国主義と徹底的に一線を画してこそ、両国関係の健全で安定した発展が可能になる」と述べました。