中国の成長鈍化、金融緩和でなく景気刺激策が必要=当局者 | Reuters
急激な経済成長鈍化や雇用不安に見舞われている中国で、一連の金融緩和による効果が限定的だったことを受けて、景気刺激策が必要だとの声が高まっているという。政策立案の関係者が明らかにした。
ある有力シンクタンクのエコノミストは「政府は非常に憂慮している。もっと大胆な施策を実施しなければ(年率7%という)成長目標の達成は非常に難しく、成長鈍化は制御不能になるかも知れない」と指摘。「財政政策はもっと強力になり、インフラ投資は加速し、金融政策はもっと柔軟になるだろう」と述べた。
政府は2015年の財政赤字が国内総生産(GDP)比2.3%になるとみているが、楼継偉財政相は3月、実質財政赤字は同2.7%と09年以来の高水準に達するとの予想を提示した。
国務院発展研究センター(DRC)の上級エコノミストによると、政府は「成長の安定化とリスク制御のための一連の施策」を検討しており、「雇用には大きな問題はない。政府高官らがより懸念しているのは金融と債務リスクだ」という。
中国国家発展改革委員会(NDRC)はすでに、水の保全や環境保護、送電システムやヘルスケアなど主要な分野で投資を加速している。習近平総書記(国家主席)は、北京市や天津市、河北省の開発にで陣頭指揮を取っており、上海周辺の長江デルタや広東省の珠江デルタのような成長の原動力となる地域を作ることを目指している。
政府は、これらの大都市開発には42兆元(6兆8000億ドル)が必要だとはじいた。
興業銀行のチーフエコノミスト、Lu Zhengwei氏は「外需が弱い中で国内消費を拡大させるのは難しい。そこで可能なのは、投資を増やすことだけだ」と述べた。
NDRCは民間投資を集めるのに苦労しており、政府への歳出圧力は増大している。だが、金融危機時の2008―09年に景気刺激策として投じた4兆元(6540億ドル)が地方債務としてまだ残っており、投資余力は限定的だ。
社債のデフォルトや地方債の再編リスクに備えると共に、政府支出を増やす環境を整えるため、中国人民銀行(中央銀行)は金融緩和をさらに進め、流動性を確保するとみるアナリストは多い。
交通銀行のチーフエコノミスト、Lian Ping氏は「金融政策はさらに緩和されるだろう。経済指標を見る限り、追加利下げがある可能性は排除できない」との見方を示した。