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英女王が施政方針演説 EU離脱国民投票実施など NHKニュース

イギリスでは27日、エリザベス女王が議会で、上下両院の議員を前に2期目のキャメロン政権の施政方針について演説しました。
それによりますと、保守党の単独政権となったキャメロン政権は、EU=ヨーロッパ連合から離脱すべきかどうか賛否を問う国民投票を2017年末までに実施するため、法案を早期に提出するとしています。
また、去年行われたスコットランド独立の賛否を問う住民投票を前に、キャメロン政権が約束した自治の拡大について、スコットランドをはじめイギリスの他の地域でも実施していくとしています。
さらに、財政赤字の削減を続ける一方、低所得者の税負担の軽減や住宅購入の支援策を実行し、働く人を支援するとしています。
一方、外交面ではインドと中国との関係を強化し、ことし10月に中国の習近平国家主席国賓として招くことを明らかにしました。
女王の演説を受けキャメロン首相は議会下院で答弁し、EUを巡る国民投票について、「イギリスでEU加盟の賛否について国民投票を行った1975年から、EUは大きく変わった。再び国民に賛否を問うてもよい時期だ」と述べ、意義を強調しました。

イギリス議会の女王の演説は、伝統と歴史が凝縮された議会の一大イベントといわれています。
この君主による施政方針の演説が始まったのは16世紀。その後、権力をふるう君主と、それを制限しようという議会の間の長い攻防を経て、政治の実権は徐々に議会へと移り、施政方針の演説は1852年からいまの形で行われるようになりました。
演説の当日、女王はおよそ15分かけてバッキンガム宮殿から馬車で議会へ向かいます。女王がいただくのは「大英帝国王冠」。ふだんはロンドン塔に保管されているこの王冠は、女王の到着に合わせて議会に運ばれます。
議会に到着した女王は王冠をかぶり、議会上院の玉座に着席します。その後、上院からは「黒いつえ」を持った使者が下院に派遣され、君主の演説を聞きにくるよう求めます。
使者が到着すると下院では、いったんドアを閉じ、使者がつえでドアを3回たたいたあと、入室を許されるという伝統の儀式が行われ、その後、下院議長や首相らが上院へと向かうことになっています。
この儀式は、議会下院の君主からの独立を示すためのもので、1642年に当時のチャールズ1世が、議員を逮捕しようと下院に乗り込んで以来、下院の議場に入った君主はいないということです。

イギリスで、君主である女王は「君臨すれども統治せず」と表現され、政治の実権を行使することはありません。
しかし、国に君臨する女王の存在は、公共の場のあちこちで感じることができます。通貨ポンドには、もちろん女王の肖像。経済や財政をつかさどる財務省は、「ハー・マジェスティーズ・トレジャリー」「女王陛下の財務省」。そして女王が名目上の最高指揮官となる海軍は「ロイヤル・ネイビー」と呼ばれています。
そして議会でも、政府の基本方針を示す施政方針演説は、伝統的に君主が玉座に座って読み上げることになっています。演説の中で、女王は「私の政府が実施する施策は」という表現をたびたび使い君主の大権の下で政治が行われる形式をとっています。
実際に政府を率いる首相は上院の議場で、立ったまま演説に耳を傾けています。ただ、演説の内容は政府が執筆しており、内容も経済や社会福祉など政府が実現を目指す政策が列挙されています。
演説後、議会は演説の内容の審議を始め、下院で可決されれば首相が率いる政府は信任されたとみなされます。