コラム:「ヒラリー大統領」の機は熟したか | Reuters
簡単に言えば、クリントン氏は、性差別と年齢差別がどう相互作用するかについての生きた証拠だ。
リーダー的立場において、女性は常に男性よりも高い基準を求められているように思える。しかし、その基準を満たす経験を積んだころには、年齢差別を受ける年となっているのだ。クリントン氏が67歳で出馬したことは、女性であることを人々が見過ごすのに必要な経験を重ねるには長い時間がかかるということを示す、まさに好例だと言える。
ピュー・リサーチ・センターが1月に行った調査では、回答者の65%が、ビジネスの場で女性は男性よりも高い基準を求められていると認識していることが明らかとなった。
こうした力学はエンターテインメント業界でも見られる。女優が仲間の俳優や監督や観客から尊敬を受けるようになるまでには、もしくは役の有意義な選択ができるのに十分な尊厳をようやく身に付けるころには、すでに機会は枯渇している。アカデミー賞による2013年の分析では、主演女優賞受賞者の約6割は35歳未満であり、助演女優賞の半数も35歳未満だった。一方、主演男優賞では、同じくらいの年齢での受賞はわずか15%程度にとどまった。
興行収入の高い映画を調べた今年の研究では、女性が主演を務めた映画はたったの12%(男性による脚本・監督の場合は4%)であり、「その大多数は20代(23%)と30代(30%)」だった。ヘレン・ミレンとメリル・ストリープは例外だが、これは非常にまれなケースだろう。
女性にはより高いハードルを課し、それをようやく乗り越えてもリーダーとして年を取り過ぎていると言うのは偽善の極みだ。その際、われわれは女性に害を与えている。そしてわれわれ自身にもだ。最も大統領にふさわしい人物に率いられる機会を放棄しているのだから。
「High Competence Threshold」を解消するには時間がかかるだろう。文化を変えるときはいつだってそうだ。だが、「最年少の女性大統領」の誕生は、生涯をかけて築いた並外れた経歴を持つ候補者が登場できるような世の中を意味することになるだろう。そしてうまくいけば、ヒラリー・クリントンをメリル・ストリープが演じる伝記映画が見られる日が来るかもしれない。
*筆者はフェミニストのためのコミュニティーサイト「Feministing.com」のシニアコラムニスト。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150621#1434883151
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150603#1433327706