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焦点:中国の追加緩和、株価安定図るも投機煽る恐れ | Reuters

中国人民銀行中央銀行)が27日発表した追加緩和は、わずか数週間で20%も下落した株式市場の安定が狙いとみられる。しかしエコノミストの間からは、経済の基礎的諸条件からかい離した株高を誘発し、経済に悪影響を及ぼすと懸念する声も聞かれる。


中銀は27日に貸し出しと預金の基準金利を引き下げ、預金準備率も一部で引き下げた。

スタンダード・チャータード銀行エコノミストチームは「政府は強気の株式市場を維持し、資本市場の拡大と銀行融資への依存低下を望んでいるようだ」と指摘した上で、「しかし金融政策をこうした目的で使うのは疑問だ」とした。


問題の1つは、中銀が株安を食い止めるため金融緩和を利用しているとの印象を投資家に与え、一方向の投機を促しかねない点だ。


また中国では株価上昇が成長鈍化への対応策にならないという問題もある。株高は「資産効果」を通じて経済の他の分野での投資や支出を刺激するのが一般的だが、中国ではこうした効果が出ていない。株式市場の時価総額は過去1年間に差し引き7兆6000億ドルと2014年の国内総生産(GDP)に匹敵する規模で増大したが、小売売上高は減少傾向が続き、企業投資は弱いままだ。


民間の調査からは、第2・四半期に始まった国内企業の業績回復が緩慢で株高の効果をそいでる様子がうかがえる。民間のまとめた「中国版ベージュブック」は「全ての指標から読み取れるのは、株高に反応するはずの設備投資がほんのわずかしか上向かず、融資需要も同じ傾向を示しているという点だ」と指摘した。


株高は経済への波及効果が薄い一方で、相場が大きく崩れたときの悪影響は小さくない。


キャピタル・エコノミクスのマーク・ウィリアムズ氏は調査ノートで「株安の継続によって金融セクターの足元での過熱が沈静化し、中国のGDP成長率が1%ポイント下押しするというのが最良のシナリオだ。しかし過去1年間に借り入れが急速に拡大しており、中国経済は急激に鈍化する恐れがある。株安に絡んで債務不履行が続発し、カウンターパーティーリスクが高まり、信用市場が機能停止に陥るというのが主要な下振れリスクだ」と分析した。


アナリストによると、中国の株式市場は事実上、昨年11月の予想外の利下げ後に上昇し始め、以来、中銀による流動性供給の動きが注目の的となってきた。そのため景気の緩やかな回復を示す材料が出ると投資家は金融緩和サイクルの終了を意識し、株価の急落を招きかねない。


中銀は今回の追加緩和を株式市場の動きと直接結びつけてはいない。しかし政府が商業銀行の預貸率撤廃を発表した直後というタイミングから、株式市場の動きだけをにらんだ決定だとの受け止め方が多い。


大手行の銀行筋は「下落している株式市場の救済に近いと考えている」と話した。