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焦点:成長促進に万策尽きた中央銀行、主役から脇役に転落 | Reuters

金融危機から世界経済を救い出す上で主役を演じてきた世界の中央銀行だが、今では成長率を押し上げる手段が尽き、脇役に転じようとしている。


先進国中銀は実質ゼロ金利政策と合計7兆ドルに及ぶ量的緩和(QE)を実施しているにもかかわらず、投資と成長率は危機前の水準を回復できていない。


「人類に告ぐ。あなたがたは、あらゆる種類の金融政策を試したが、結局望み通りの場所には戻れなかった」と語るのはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のチーフ・グローバル・エコノミスト、ポール・シアード氏だ。中銀は金利がゼロから抜け出せないことを認めるとともに、他の政策当局が行動を起こすべき時かもしれないとロイターに対して述べた。


中銀はジレンマに直面している。成長促進のためにもっと行動してくれるよう政治家に頼むか、新たな「実験」を開始するかだ。


いずれもリスクを伴い、思わぬしっぺ返しを受ける恐れがある。


国際通貨基金IMF)などは、日本と欧州にインフラ投資の増強や市場開放に向けた改革を、ドイツなどの国には直接的な財政刺激策を求めているが、ほとんど実現していない。


中銀が政府への圧力をさらに強めても、成果が期待しにくいばかりか、返す刀で独立性を脅かされるかもしれない。


マイナス金利や財政ファイナンスなどの実験を進めれば、中銀が本来の機能を離れて道を見失っている、との懸念が深まりかねない。


そこで考えられるのが第3の選択肢、つまり既に実行してきたQEをさらに拡大するという魅力に乏しい行動だ。


IMFが指摘する通り、日本と欧州は真剣な構造改革を実行しない限り、成長率を高められそうにない。


実際、日銀が2013年4月から1兆5000億ドルものマネーを経済に注ぎ込んだにもかかわらず、日本は7─9月期にリセッション入りした可能性がある。


米国でも、QEが経済成長にどの程度寄与したかが疑問視されている。


アトランタ地区連銀のロックハート総裁は9月16─17日の連邦公開市場委員会(FOMC)後、記者団に対し「われわれはできる事をすべてやったが、(米成長率は)まだ2%強にとどまっている。これらの手段が所期の効果を持たなかったことがある程度示された」と語った。


中銀がバランスシートを劇的に拡大したにもかかわらず、米国のインフレ率はFRBの目標に遥か及ばず、日本とユーロ圏はマイナスかそれに近い。


<政策効果薄く>


このため中銀は一時のようなスーパーヒーローではなく、脇役として語られることが多くなっている。


欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁はロイターに対し、中央銀行ができることについて過剰な期待が寄せられている」とし、潜在成長率を押し上げるのは「他の政策担当者の仕事だ」述べた。


ECBのプラート専務理事はある会合で、経済はゼロ金利に慣れきってしまった可能性があると述べ、利上げの難しさを指摘した。


FRBが先月利上げを見送ったことは、世界の他の地域の経済が弱くても利上げは可能だという、FRB自体の主張に疑念が忍び寄っていることを示した。


あるFRBメンバーは「マイナス金利」の導入までほのめかしている。末端意見ではあろうが、FRBがさらに未踏の領域にはまって行く可能性をうかがわせた。


シティの外為担当マネジングディレクター、スティーブン・イングランダー氏は最近のリポートで、慢性的な低成長という世界に入ったのであれば、中銀はタブーを破って財政資金を賄うためのマネー創造、つまり財政ファイナンスに踏み込むべきかもしれない、との考えを示した。


「経済に購買力を直接注入し、経済活動とインフレ率の両方を押し上げる」ことができるというのだ。


政府が成長促進の旗振り役を演じられない、あるいは演じたくない以上、中銀への圧力が近い将来和らぐことはないだろう。


オーストラリア準備銀行のスティーブンス総裁は最近、「道理をわきまえた人々なら、われわれが望むような成長は中央銀行の政策調整だけでは達成できないことが直感的に分かっている」と語った。

市場に根強い日銀緩和期待、経済効果には早くも諦めムード | Reuters

アベノミクス「新3本の矢」に直接明示されなかった金融政策だが、市場の期待度は衰えていない。むしろ相場に手詰まり感が強まる中で注目度は増している。


ただ、実体経済に効果をもたらす円安や金利低下のルートは使いにくくなっている。相場材料として期待感は強いものの、景気や物価が大きく改善するとみる市場関係者は少ない。


<3匹目のドジョウ>


安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁が前月25日、首相官邸で会談したことが伝わると、前場11円安だった日経平均.N225は一気に300円高まで上昇。昨年も9月11日に会談が行われ、それから約1カ月半後の10月31日に追加緩和が決定された「記憶」が蘇ったためだ。


同29日の市場では、米通信社が伝えた岩田一政前副総裁の発言に反応し、株高・円安が進んだ。特定の言葉に反応するようプログラムされたアルゴリズム・トレードが、現副総裁と同じ「岩田(Iwata)」という文字に反応したとの見方もあるが、いずれにせよ、市場の日銀緩和に対する「感応度」の高さが示されたケースと言える。


これまで2回の日銀の量的・質的緩和政策(QQE)が市場に与えたインパクトは大きい。第1弾が発表された2013年4月4日から5月高値まで日経平均.N225は3867円上昇。ドル/円JPY=も11円上昇した。


タイミング的なサプライズがあった14年10月31日の第2弾の時も日経平均は1カ月強で2372円、ドル/円は12円上昇した。


日本株市場では、イベント・ドリブン型のヘッジファンドなどが「3匹目のドジョウ」を狙って株買いを仕掛けているとの観測がある。「追加緩和の可能性が大きいかどうかは関係ない。もし、当たれば相場変動が大きい。その機会を逃すわけにはいかないと考えているようだ」(外資系証券トレーダー)という。29日の日本株市場では不動産株やノンバンクなど金利敏感セクターの上昇が目立った。


<円安ルートは期待薄>


ただ、市場では「むなしい追加緩和期待」(外資系証券エコノミスト)との声も聞こえてくる。「日銀の追加緩和は株高・円安の材料にはなるだろう。しかし、日本経済がそれで良くなるとみている海外投資家はほぼ皆無」(同)という。


原油下落で再びマイナス圏に入りつつある物価だが、それでもかつてのデフレ状況からは脱してきた。景気も足元は減速気味であるものの、雇用は増え、企業業績も改善。2年前より経済が回復したことは確かだ。2度にわたるQQEによって、実体経済に与えた効果がなかったとは言い切れないだろう。


しかし、その効果を分析してみると、直接的な効果は「ほぼ円安効果につきる」(ニッセイ基礎研究所・チーフエコノミスト、矢嶋康次氏)との見方が多い。


円安が輸出企業などの業績を好転させ、輸入コストの上昇によって物価も押し上げられた。今やその円安による輸入物価上昇が家計を圧迫。賃金がなかなか上がらないなかで、これ以上の円安には反対との声は、家計だけでなく財界や政界からも多くなっている。


金融緩和には低金利による景気刺激のルートもあるが、10年利付国債利回りJP10YTN=JBTCは足元で追加緩和期待もあって0.32%に低下。これ以上、無理に押し下げても効果は限定的だろう。


企業経営者の関心は、限界まで低くなった金利よりも将来の売り上げだ。世界経済が減速しようというときに金利が多少低くなったからといって、投資を拡大するのは難しい。


やや古い調査だが、今年1月に実施されたロイター企業調査では、15年度の国内設備投資計画を立てるにあたり、製造業の47%、非製造業の73%が最も重視するとしたのは国内需要の動向だった。


一方、実質金利の低下を挙げたのは製造業、非製造業ともに1%にとどまった。


<株高・円安は限定的か>


それでも、日銀が今月中にも追加緩和に踏み切るとみる市場関係者は増えている。


バークレイズ証券は2日付リポートで、日銀追加緩和のメーンシナリオを2016年4月から今年10月30日に前倒しした。日銀が同日公表した9月短観調査で、企業の物価見通しが引き下げられたためだ。


みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏も、10月30日の追加緩和決定を予想する1人だ。「やらなければクレディビリティは低下し、特に海外勢が日本株売り/円買いに動く可能性が強まる」と指摘する。


ただ、実体経済に与える影響は極めて限定的とするほか、ドル/円は上昇しても、今年高値の1ドル125円に届かないだろうと予想している。


日本株は、円安のサポートなしに上昇相場に戻るのは容易ではない。いったんは追加緩和を材料に買われても「補正予算や需給政策などが組み合わされなければ、日経平均は今年の高値2万0952円を超えるのは難しいだろう」と、SMBCフレンド証券・チーフストラテジストの松野利彦氏はみている。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151001#1443695747
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http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150821#1440153488


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