FRB、米国債市場の流動性めぐり金融業界と見解対立 | Reuters
米連邦準備理事会(FRB)と大手金融機関の間で米国債市場の流動性をめぐる見解に食い違いが見られている。米国債市場は流動性の問題に直面しており、金融の不安定化を招く恐れがあるとの声が金融業界から聞かれる一方、FRB理事らは最近これを否定する姿勢を示している。
FRBのブレイナード理事は1日、オーストリアで行った講演の原稿で「日々の流動性が悪化していることを示す証拠は比較的少ない」と指摘。米債券市場の深みや重要性の変化に疑念を示すパウエル理事やタルーロ理事に同調する見解を示した。
ブレイナード理事はまた、市場の流動性を測る従来の手段である呼び値スプレッドなどは「全般的に危機前と変わらない」と語った。
一方、FRBが1日公表した主要行21行のクレジット担当者を対象にした調査では、呼び値スプレッドやその他の市場を測る基準が金融システムの主要部分における流動性不足を示しているとの意見が得られた。
FRBは「回答者の8割強が、市場の流動性や機能について過去5年間にわたって悪化しているとの見方を示した」としている。
FRBと金融業界のこうした見解の違いは、金融危機を受けて導入されたドッド・フランク法(米金融規制改革法)などの規則による影響をめぐる論争が一因となっている。
ブレイナード理事は、現在の市場の状況について、銀行や投資家、その他の機関がこれまでと異なるかもしれない機能に慣れていく「移行」段階にあるとみられるが、全般的には以前よりも安全で安定的だとの見解を示した。