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イラン核協議 最終合意と正式発表 NHKニュース

イランの核開発問題の解決を目指して協議を続けてきた欧米など関係6か国とイランは14日、オーストリアのウィーンで外相級の全体会合を開きました。このあと、関係6か国側の調整役を務めるEU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表とイランのザリーフ外相が会見し、最終合意に達したことを正式に発表する共同声明を読み上げました。このなかで双方は「歴史的な日だが、これが共同作業の終わりではない。合意内容が確実に履行されるよう取り組みを続ける」などと協議の成果を強調しました。そのうえでイランの核技術が平和利用の目的以外に使われないようにするためにはこれからの取り組みが重要だという認識を示しました。
13年前に発覚したイランの核開発問題の解決を目指した関係6か国とイランは先月から3回にわたって交渉期限を延長するという異例の対応を取って協議を続けました。今回の合意でイランの核開発は大幅に制限されることになり、紛争の絶えない中東地域で核の拡散を防ぐ大きな一歩となります。

イランの核開発問題の解決に向けた最終的に合意された合意文書と付属書は合わせておよそ160ページにのぼります。その主な内容は以下のとおりです。


イランの核開発は15年間にわたって大幅に制限されます。このうち、ウラン濃縮に使われる遠心分離機は今後10年間にわたって、現在のおよそ1万9000基の3分の1以下にあたる6100基余りに減らすとしています。その一方で、ウラン濃縮の能力拡大につながる新型の遠心分離機の研究・開発について、一定の制限はあるものの、継続が認められています。
また15年間にわたって、濃縮度が3.67%を超えるウランは製造せず、現在保有している10トンの低濃縮ウランを、300キロにまで減らすとしています。さらにウランの濃縮活動は今後15年間、中部のナタンズの核施設に限定されます。中部フォルドゥにある地下深くに建設された核施設では濃縮ウランの製造が停止され、施設は研究関連用に転換されます。西部アラクの重水炉については核兵器に転用可能な兵器級のプルトニウムを生産できないよう設計を変更し、使用済み核燃料はすべて国外に運び出します。


イランが核開発を制限していることを確認するため、IAEA国際原子力機関の権限が拡大されます。イランは未申告の核関連施設の調査や抜き打ちの査察を可能にするIAEAの「追加議定書」を批准し、すべての核関連施設にIAEAが定期的に立ち入ることができるようになります。協議の大きな争点となっていた、核兵器の開発疑惑があるイランの首都テヘランの郊外にあるパルチンの軍事施設については査察の対象となっているかどうか明記されていません。しかし、未申告の核物質の存在や核開発が懸念される施設には、IAEAは検証のための立ち入りを求めることができるとされています。イランとIAEAの意見が対立し、懸念が解消されない場合は、関係6か国側とイランで作る委員会が仲裁の役割を担い、必要な手段についての助言を行い、イランは3日以内に必要な手段をとることになっています。


イランが強く求めていた経済制裁の解除についてはIAEAがイランによる核開発の制限を確認した段階で、まとめて解除されます。その一方で、イランが合意内容に違反した場合は、65日以内に制裁を元に戻すことができます。また、イランやイランと関係の深いロシアが解除を求めていたイランへの武器輸出を禁じる国連の制裁措置については、協議の結果、防衛を目的とする武器については輸出入ができるよう制裁措置が緩和され、5年後には完全に解除されるとしています。

今回の合意を受けて、国連の安全保障理事会でも近く合意を支持する決議が採択され、国連でイランに対する制裁の解除に向けたプロセスが始まります。
安保理では2006年以降、イランに対するさまざまな制裁を盛り込んだ4つの決議が採択されてきましたが、今後はIAEA国際原子力機関がイラン側の対応を検証したうえで、安保理で一連の制裁決議を無効にする手続きがとられることになります。国連が過去に特定の国に対する制裁を解除した例としては、長年にわたってアパルトヘイト=人種隔離政策をとってきた南アフリカが政策を廃止したことから、それまで科されていた経済制裁が解除されたケースや、欧米と敵対してきたリビアの旧カダフィ政権が対外協調路線に転じ過去に関わったテロ事件の責任を認めたことから、制裁が解除されたケースなどがあります。

イラン核問題最終合意受け 各国は NHKニュース

イラン大統領「新たな時代の始まり」
イランのロウハニ大統領は首都、テヘランで演説を行いました。この中でロウハニ大統領は「長期にわたる交渉によって互いにメリットのある合意に達することができうれしく思う。不必要な危機が取り除かれ、新たな時代の始まりとなる」と述べ今回の合意を評価しました。そのうえで、「イランに対する国連などの制裁は市民の日常生活に悪影響を与えるだけだった。合意を確実に実行すれば互いの不信感は次第に取り除かれていく」と述べて、制裁の解除に期待を示しました。


イラン外相「核の平和利用進める」
イランのザリーフ外相はEU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表とともに臨んだ会見で、「イランの核問題について合意に達したと発表できることは私たちにとって名誉なことだ」と述べ、合意に達したことを歓迎しました。そのうえで、「今回の合意はイランの平和的な核の利用を示すものだ。イランはいかなる条件においても核兵器を求めたり、作ったり、入手しようとしたりすることがないと強調する」と述べ、改めて、核の平和利用を進めていく姿勢を示しました。


EU上級代表 合意を実行に移すことが重要
欧米など関係6か国側の調整役を務めたEU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表は共同声明の発表を終えたあと、NHKなどに対して「これから合意を履行していかなければならない。そのあとに私たちの関係の新しい章が開くことになることを期待している」と述べ、今後、双方が着実に合意を実行に移していくことが重要になるという認識を示しました。また「今回の合意は、核の不拡散という観点から重要なだけでなく、多くイランの人が歓迎していることからも分かるように、社会をも変える可能性がある」として、その意義を強調しました。


米大統領 外交の成果強調
アメリカのオバマ大統領は日本時間の14日夜8時すぎにホワイトハウスで声明を発表しました。この中で、オバマ大統領は「2年に及ぶ交渉でイランとの包括的で長期に及ぶ合意に達した。合意はアメリカの外交によって現実的で意味ある変化をもたらすことができることを示している」と述べて、厳しい経済制裁などによる、みずからの外交の成果だと強調しました。そのうえで「イランの核兵器取得は検証があって初めて不可能なものとなる。これは信頼ではなく検証に基づいている。より安全な世界を実現するための合意だ」と述べ今回の合意の意義を高く評価するとともに、検証の重要性を指摘しました。
一方で、合意内容を精査する必要があるとするアメリカ議会に対しては「合意から抜けることは無責任だ」と述べて強くけん制したうえで、議会が合意内容を認めない場合には大統領の権限である拒否権を行使してでも合意内容を実行に移す構えを示しました。
また、合意を強く批判するイスラエルに対しては「われわれはイスラエルの安全保障を強化し続ける」と述べ、理解を求めました。


米元高官 ISとの戦いで米とイラン協力進む可能性
アメリカ、ホワイトハウスで、国家安全保障会議の中東問題の上級部長を務めたフリント・レバレット氏は協議が行われたウィーンで、NHKに対し「中東でアメリカの立場が相対的に低下するなか、イスラエルサウジアラビアなどの伝統的な同盟国だけでなく、イランとの関係づくりが戦略的に重要であり、最終合意は広範囲に関係を築く最初の重要なステップとなる」と評価しました。そして「アフガニスタンや、イラク、シリアでの過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いは、イラン抜きで、アメリカの目標は達成できない」と述べ、過激派組織との戦いで、アメリカとイランの協力関係が進む可能性を指摘しました。
一方、「アメリカは大統領選挙の時期に入り、野党・共和党のほとんどの候補が合意を撤回すると主張している。今後1年半以上は、政治的な圧力を受け続けるだろう」と述べ、合意の実行にあたってはイランに批判的な野党・共和党から圧力を受け、影響が出る可能性があると懸念を示しました。
また9月にニューヨークで行われる国連総会ではオバマ大統領とロウハニ大統領の首脳会談が実現する可能性があるとし、関係改善が進むという見通しを示す一方、国交の回復については「アメリカ国内と、イスラエルなど伝統的な同盟国からの政治的な圧力があり、オバマ政権はイランとの関係を根本的に転換はしないだろう」と述べ、現状では難しいという認識を示しました。


英外相 ISとの戦いでイランの役割に期待
イギリスのハモンド外相は声明を発表し、歴史的な合意と評価したうえで、「今後は、この合意が速やかにすべて実行に移され、イランの核兵器の開発が決して行われないよう明確にすることが焦点となる。合意によって、イランと近隣諸国や国際社会との関係が新たな段階を迎えることを期待している」として合意を歓迎しました。
そのうえで、ハモンド外相は、「各国との協力を続け、イランが地域の問題、とりわけ過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いで、透明性のある建設的な役割を担うよう促していく」と述べ、イランの役割に期待を示しました。


ロシア大統領 最終合意を歓迎
ロシアのプーチン大統領は声明を発表し「関係国は長年かけてこの合意に向けて歩んできた。今、世界は胸をなでおろしていると確信している」と述べ、合意を歓迎しました。そのうえで「イランはIAEA国際原子力機関の監視の下でウランの濃縮を含む核の平和利用ができ、制裁も順を追って解除される。ロシアとイランの2国間関係はさらに強化される」と述べ、原子力分野でイランと協力していく姿勢を強調しました。
また、ラブロフ外相は記者団に対し、ロシアが解除を求めていたイランへの武器輸出を禁じる措置は今後5年間は継続されるものの、この間でも、国連安全保障理事会の必要な手続きを経れば武器の輸出ができるようになったことを明らかにしました。
今回の合意を受けてロシアはアメリカがイランの核の脅威などに備えるためだとしてヨーロッパで進めるミサイル防衛システムの配備計画は根拠がなくなったとして、計画の撤回を求めていくものとみられます。


中国外相 高く評価
中国の王毅外相は中国国営テレビに対し「きょうは歴史的な日だ。合意の最も重要な成果は、核の不拡散体制を力強く守ったこと、イランと各国の関係を改善したこと、そして、われわれが対話を通じて重大な国際問題を解決できると国際社会にはっきり示したことだ」と述べて高く評価しました。


イスラエル首相「歴史的過ち」
イランの核開発を安全保障上の脅威だと位置づけるイスラエルのネタニヤフ首相はエルサレムで会見し、合意内容はイランの核開発を止めるものになっていないとしたうえで「合意は驚くべき歴史的な過ちだ」と述べ、強く批判しました。そのうえで「世界はこれまでよりも危険な場所になってしまった。イスラエルはこの合意に縛られることはない」と述べ、イランの核施設への軍事攻撃も辞さないとしてきたこれまでの強硬姿勢を続ける考えを示しました。


岸田外相「粘り強い努力高く評価」
岸田外務大臣はイランの核開発問題が最終合意に達したことについて「すべての交渉当事者のこれまでの粘り強い努力を高く評価する。日本政府は国際社会と連携しつつ、イランがこの最終合意を誠実に履行するよう働きかけるなど、積極的な役割を果たしていきたい」というコメントを発表しました。

イスラエル:ネタニヤフ首相「歴史的な過ちだ」 - 毎日新聞

イスラエルのネタニヤフ首相は14日、「今回の合意は、世界にとって歴史的な過ちだ」と述べ、米国など6カ国が「合意ありき」で交渉に臨んだ結果、イランに大きな譲歩を許す結果になったと強く批判した。


 エルサレムでのオランダ外相との会談前に語った。首相は「いかなる犠牲を払っても合意したいと希求すると、こういう結果になる」と指摘。さらに、「イランに核兵器(開発)能力を持たせないための(規制の)あらゆる分野において広範囲な譲歩がなされた。イランは(制裁緩和によって)中東をはじめとした世界中にテロ行為と侵略を広める資金源を得ることになる」と反発した。

 一方、英国のハモンド外相は「歴史的な合意」と評価する声明を発表。一方で、イエメンなどのシーア派勢力へのイランの影響力行使を念頭に、「イランによる湾岸諸国への内政干渉については(反対という)明確な姿勢を示し続ける」とクギを刺した。

シリア:アサド大統領「イランからの支援増を確信」 - 毎日新聞

シリアのアサド大統領は14日、イラン核協議の合意に関連し「イランが正義ある人々への支援を増やすと確信している」と述べた。国際社会による経済制裁緩和を見据えて、イランからの支援強化を期待する発言だとみられる。国営シリア・アラブ通信が報じた。


 アサド氏は「イランの歴史的な転換点になる。不当な経済制裁に屈せず、自らの(原子力)研究の成果を守る姿勢を貫いたことが成就した」と評価した。

オバマ米大統領、サウジ国王とイラン核合意受け電話会談 | Reuters

オバマ米大統領は14日、サウジアラビアのサルマン国王と電話会談し、イラン核協議の最終合意や、イエメン情勢について意見を交わした。


ホワイトハウスの発表によると、オバマ米大統領は、地域の安定を損なうイランの行動に対し、湾岸諸国とともに課題に取り組み、安定化を目指していきたいと述べた。


また、両氏はイエメンでの戦闘を即時に停止させ、国際的な人道支援ルートを通じてイエメン国民を援助する必要性について協議したという。

イラン核協議合意 世界のエネルギー供給に影響 NHKニュース

今回の最終合意で、軍事利用が疑われてきたイランの核開発は、大幅に制限されることになり、紛争の絶えない中東で核の拡散を防ぐ大きな一歩となります。
また、核開発問題を巡ってイランと敵対するイスラエルが核施設への軍事攻撃も辞さない構えを見せ「中東最大の火種」といわれてきましたが、この最終合意によって当面は、その危機が回避されることが期待されます。
また、1979年のイスラム革命をきっかけにテヘランアメリカ大使館占拠事件が起きたことで、アメリカとイランは国交を断絶し鋭く対立してきましたが、今回の最終合意で両国の関係修復が進み、過激派組織IS=イスラミックステートや内戦が続くシリア情勢など、中東の重要課題を巡って一定の協力に道を開く可能性があります。
さらに、経済制裁が解除されることによって世界屈指の豊富な埋蔵量を誇るイランの原油天然ガスの輸出が大幅に拡大され、ヨーロッパの各国にとってはウクライナ情勢を巡って関係が悪化しているロシアに対する天然ガスの依存を減らす好機となるほか、日本にとっても原油の安定的な調達につながります。
そして、日本をはじめ世界の企業にとって人口が7800万に上るイランの巨大市場に進出するチャンスが大きく広がることになります。

イランは世界有数の産油国であり、日本は1950年代から原油を輸入するなど、経済的に深いつながりがありました。
1979年のイラン・イスラム革命後も原油の取り引きや資源開発は続きました。しかし、2005年に就任したイランの保守強硬派、アフマディネジャド大統領が核開発を加速させたこともあり、欧米との関係が悪化。2006年、アメリカはイランの国営銀行とアメリカの金融機関との取り引きを全面的に禁止する措置を取りました。
こうした制裁強化のあおりを受けて2006年、日本の石油開発会社が関わっていたイランにある中東最大級の「アザデガン油田」について、75%の権益を10%台まで引き下げることになりました。
その後、2010年にはアメリカ側の要請を受ける形で日本はすべての権益を手放す結果になりました。金融を巡るアメリカの厳しい規制は日本の銀行にも及びました。三菱東京UFJ銀行は制裁対象となっていたイランなどに違法に送金を行っていたとして、2013年にニューヨーク州に2億5000万ドルの和解金を支払いました。
こうした厳しい制裁の影響もあって、イランから日本への原油の輸入量は毎年減り続け5年前の2010年には、輸入量のおよそ10%に当たる2060万キロリットルに上っていましたが、去年には、輸入量のおよそ5%のおよそ980万キロリットルにとどまり、5年間で半分以下にまで減っています。
今回、イランに対する経済制裁の解除が進むことになれば、日本の企業が原油の輸入拡大や資源開発を本格的に再開する可能性があります。
また、イランは中東最大規模のおよそ8000万の人口を抱え、将来的には有望な市場とみる日本企業もあり、まずは制裁の対象外である人道支援物資の分野、特に医療機器の取引拡大が期待されています。

財務省の貿易統計によりますと、日本とイランの貿易額は、ピーク時の2008年には2兆円を超えていました。
2008年の秋に起きた「リーマンショック」で、原油価格が大幅に下落したことに加え、2010年以降、欧米が厳しい経済制裁を打ち出したことなどから日本とイランの貿易額は縮小傾向が続いています。
去年の貿易額は、6799億円余りと、ピーク時に比べて3割程度にまで落ちこんでいます。このうちイランからの輸入のほとんどは原油です。
一方、日本からイランへの主な輸出品は自動車や重電機器などとなっています。