芥川賞に又吉さんと羽田さん 直木賞は東山さん NHKニュース
芥川賞受賞の又吉直樹さん 会見全文 NHKニュース
芥川賞受賞の羽田圭介さん 会見全文 NHKニュース
ピース又吉『火花』が芥川賞を受賞…でも一方で“芸人生命”はもう終わりとの声も!|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見
しかし、「大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた」などという冒頭の一文に象徴されるように、文章は純文学コンプレックスが空回りしている部分も散見される。テーマも様々な小説で繰り返し書かれてきたことで、たいして新しいというわけではない。
にもかかわらず、この時期から又吉の作品が「芥川賞あるいは直木賞にノミネート確実」といわれるのは、なぜなのか。それは、小説のクオリティだけでなく、又吉にどうしても賞を獲らせたい出版界の事情があるからだ。
世間では小説離れが叫ばれて久しいが、ここ数年、出版界では“一部の売れる小説”と“多くの売れない小説”の差がどんどん開いている。しかも、売れる作家の数もどんどん少なくなっており、たとえば2014年の小説ベストテンも「半沢直樹」シリーズの池井戸潤、本屋大賞を受賞した和田竜、村上春樹、東野圭吾、西尾維新、百田尚樹と、たった5人の作家が分け合っていた状態。ほとんどの小説が増刷できず初版どまりで、その初版部数も純文学なら5000部以下や、エンタメでも1万部に届かないということもザラだ。
又吉の小説にならっていえば、出版界は小説を売るための〈額縁〉が喉から手が出るほど欲しい状態なのだ。そして、ひとつ〈額縁〉が見つかれば、その〈額縁〉にみんなが群がる……。冒頭、出版界で又吉が引っぱりだこと書いたが、それも又吉の人気にあやかって本や雑誌を売りたいがためのこと。とくに純文学系に造詣の深い又吉の存在は、救世主に近いほど貴重だ。──ここで、「人気といっても、又吉ってもう落ち目じゃない?」と感じる人もいるかもしれないが、たしかにお笑い芸人としては明らかに一時の勢いは失っている。しかし、落ち目の芸人にすがらざるを得ないほど、出版界は貧しているのだ。
出版界のなかでも、一般の新聞やニュースでも報じられるなど、まだ話題性を保っているといえる芥川賞と直木賞だが、それもいまや風前の灯火。先述のベストテンに両賞の受賞作が1冊も入っていないように、かつてほどは受賞作の売上げが伸びなくなっており、本屋大賞に大きく水を空けられている。とくに芥川賞は、石原慎太郎が選考委員を辞めてから選考の質がよくなったと言われるが、話題性やセールスという面ではかなり地味になっているのは否めない。……ここでもし、お笑い芸人が初の芥川・直木賞を受賞すれば、ミリオン必至の大きな話題になることは火を見るより明らか。芥川・直木賞を主催する文藝春秋としては、なんとしても仕掛けたいと考えているはずだ。
沸く書店、「火花タワー」も登場 「在庫もつか心配」 http://t.asahi.com/i302
芥川賞に選ばれたお笑い芸人、又吉直樹さんの小説デビュー作「火花」は若手お笑い芸人たちが悩みや葛藤を抱えながら理想とする「笑い」を模索する物語です。
受賞が決まったことを受けて、単行本を発行する文藝春秋では「火花」を新たに40万部増刷することを決め、これで累計の発行部数は104万部、新人の純文学作品としては極めて異例の100万突破となりました。文藝春秋によりますと、発売から一年以内で、発行部数が100万部を超えた文芸書は平成25年に発行された村上春樹さんの「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来だということです。
また、芥川賞の受賞が決まった直後から各地の書店には特設コーナーが設けられていて、このうち、東京・新宿区の書店では17日朝から多くの人が平積みされた「火花」の単行本の前で足を止め次々と買い求めていました。
本を買った20代の女性は「ふだんは全然本を読みませんが、芥川賞をとったので気になって買いました」と話していました。
書店の店長は「出版業界にとっては本当に明るい話です。ふだん本に触れない方が本の楽しさに気付いてもらう機会になってほしいです」と話していました。
#お笑い