こういう「憲法違反の安保法案」と決めつけている連中は、イランのホメイニ師による、立法府より法学者を上位とするイランの「法学者の統治論」という政治形態を目指しているんだろう。（というより、自分が何を言っているのかすら理解していないんだろうけど）
日本ではイスラム教ではなく「憲法は神聖にして犯さざるべきもの」として改憲に絶対反対し、法学者の意見を立法府よりも上位として見る、憲法教と呼ぶべき人達がいます。
権力分立制は近代国家に共通の普遍的な憲法上の基本原理であり、1789年のフランス人権宣言第16条は憲法には権利保障と権力分立が必要不可欠の要素であるとの考え方を明確にしている。
前文
国民議会として構成されたフランス人民の代表者たちは、人の権利に対する無知、忘却、または軽視が、公の不幸と政府の腐敗の唯一の原因であることを考慮し、人の譲りわたすことのできない神聖な自然的権利を、厳粛な宣言において提示することを決意した。この宣言が、社会全体のすべての構成員に絶えず示され、かれらの権利と義務を不断に想起させるように。立法権および執行権の行為が、すべての政治制度の目的とつねに比較されうることで一層尊重されるように。市民の要求が、以後、簡潔で争いの余地のない原理に基づくことによって、つねに憲法の維持と万人の幸福に向かうように。こうして、国民議会は、最高存在の前に、かつ、その庇護のもとに、人および市民の以下の諸権利を承認し、宣言する。
第１６条（権利の保障と権力分立）
権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない。
昨日の授業も、１７世紀フランスのポリティーク派の理論の説明が主眼だったわけで、当然ながら安倍首相の憲法無視を教えていたわけではない。現代日本の宰相の態度が、近世フランス絶対主義における政治思想の要諦を感覚的に学生たちに何よりもわからせることにはなったが、これは皮肉というほかない。
政治も含めて時事問題に触れて古典文献の解釈を考えるということはふつうにしている。昨日もジャン・ボダンの主権理論の話をして安倍首相と憲法の話はゼミでした。
