この中で、自民党の森前少子化担当大臣は「アメリカの大義のためだけに、世界の警察であるアメリカから電話を受け、『日本も一緒につきあってほしい』と言われたときに、断らないのではないかという不安の声も聞く」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「『わが国が戦争に巻き込まれるのではないか』。こういう不安の声を私も聞いている。他国の紛争、戦争に協力をさせられるという不安だが、それは全くない。今回の法案はあくまでも自衛のための措置で、必要最小限度の措置だ。戦争に巻き込まれることは絶対にないということは断言したい」と述べました。
民主党の広田元防衛政務官は、礒崎総理大臣補佐官が安全保障関連法案を巡り「法的安定性は関係ない」などと発言したことについて、「法的安定性を真っ向から否定されている方が、総理の側近中の側近の一人である礒崎氏だ。このようなことを公衆の面前で語るのは、暴言・妄言にほかならない。礒崎氏を更迭すべきだ」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「発言は、平和安全法制を議論していくうえで、憲法との関係とともに、わが国を取り巻く安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるという認識を示したものだと承知している。そこに疑義を持たれるような発言は慎まなければならず、そのことを踏まえて、しっかりと職務に取り組まなければならない。官房長官からも、私からも、本人には注意している」と述べました。
また、民主党の前川元内閣府副大臣は「憲法学者のほぼ全員が『憲法違反だ』と表現していると言っても過言ではない。安倍総理大臣も難病を克服したので健康には関心があると思うが、医師100人のうち98人が『だめだ』という健康法を採らないだろう」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「私の病気の場合は、長い間、日本で認可されず、多くの方々が効用を認めていなかったものだったが、やっと効用が認められたらよく効いたというものだ。その時点では認められていなかったものが、安全保障環境の変化によって実際に『効いた』ということもあるのではないか」と述べました。
公明党の谷合政務調査副会長は「『PKOによる自衛隊の国際協力は理解するが、国際平和支援法による後方支援については納得できない』という声もある。なぜ、自衛隊による国際貢献、後方支援を進めていく必要があるのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「世界における安全保障環境が厳しくなっており、国際社会がお互いに、さまざまな場面や場所で協力し合って平和を守っていくことが極めて重要だ。国際社会の取り組みにわが国が協力し、国際社会の平和と安全を確保することが、ひいては、わが国の平和と安全を確保することにつながっていく」と述べました。
維新の党の真山参議院副幹事長は「日本がなぜ、先の大戦に突入していったかを端的に言えば、アメリカに油を止められたことが大きな要因だ。安倍総理大臣は、存立危機事態について、『ホルムズ海峡で石油が止められたら』と言うが、何が違うのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「ホルムズ海峡に機雷を敷設するのは武力の行使に当たり、日本だけではなく、世界のさまざまな船の航行を止めるという暴挙で、そもそも事態が全然違う。経済的な理由だけではなく、石油が入ってこないと、病院の暖房施設が動かず、電気の供給にも支障を来たし、車も動かなくなり、命すら危うくなる可能性もあるので、武力行使の新3要件に当たりうる」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、機雷の掃海活動について、「外形上は集団的自衛権の行使に当たりうるが、極めて受動的で制限的なことを行うわけで、誰かを殺傷するとか、どこかの部隊をせん滅するとか、爆撃するということとは全く違う」と述べました。
共産党の井上参議院幹事長は「礒崎総理大臣補佐官は『法的安定性なんて関係ない。国際情勢の変化に伴って、必要最小限度の内容が変わるということは、今まで何度も、政府としても、個人としても言ってきた』と言っている。この法律では、海外派兵の例外は拡大しないという担保はどこにあるのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「ホルムズ海峡での機雷掃海のように、他国の領海で武力行動を取ることも法理論上ありうるが、これは限定的で受動的であり、必要最小限度の中にとどまる」と述べました。
そのうえで、「どのような場合に、どのような武力行使が、どの程度許されるかは、実際に発生した事態の個別的な状況に照らして、総合的に判断する必要があり、武力行使の新3要件への具体的な『当てはめ』の問題なので、法律に規定するのは困難だ。個別的自衛権でも、必要最小限度についての規定は設けられていない」と述べました。