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焦点:日銀、中国減速へ警戒感 輸出・生産不振に長期化リスク | Reuters

減速が鮮明化する中国経済に対し、日銀は日本経済への影響について、これまでよりも警戒感を強めている。7─9月期には回復するとみている輸出・生産の不振が長期化したり、中国の需要動向を起点に原油やその他の商品価格が下落し、それが日本の物価上昇力に逆風となるリスクがあるからだ。


日銀は中国経済の動向を一段と注意深く点検し、日本経済への影響を注視していくとみられる。


<電力消費が鈍化>


日銀内では、中国経済の状況について、減速感が強まっているとの見方が増えている。電力消費などの指標が鈍化している点や、マンション建設など宅地開発がスローダウンしていることに懸念を示す声がある。


また、習近平主席が進める汚職追及などの綱紀粛正の推進が、消費を含めた幅広い需要サイドに下押し作用として影響を与えているとの中国国内における見方について、関心を示す動きもある。


結果として、中国の輸入が減少し、日本の輸出・生産にジワジワと下方圧力がかかり続けるリスクシナリオに対し、警戒する声が以前よりも多くなってきた。


実際、日銀が公表している実質輸出の国別データをみると、中国向け輸出は2015年1─3月期が前期比マイナス2.2%、4─6月期が同マイナス0.7%と減少が続いている。


月別では、5月に前月比マイナス0.2%、6月に同マイナス2.6%とマイナス幅が拡大している。


17日発表の日本の4─6月期国内総生産(GDP)では、輸出は前期比マイナス4.4%と大きく落ち込み、外需寄与度はマイナス0.3%だった。


日銀内には、輸出・生産の落ち込みは一時的で、7─9月期には回復基調に戻るとの見方が根強いが、一部には中国経済の減速が今のペースで長期化した場合、日本の輸出・生産が頭打ちになり、国内景気のエンジンの1つが「不完全燃焼」になることへの懸念も出始めている。


原油下落と中国減速の関係>


グローバルな商品市況の弱さが、中国経済の減速の影響を強く受けた「需要サイドの弱さ」に起因していれば、原油価格の先行き見通しにも大きな影響を与えかねず、その点も注視するべきとの声もある。


商品市況の指標となるロイター/ジェフリーズCRB指数.TRJCRBは12年ぶりの低水準にあり、米原先物CLc1は17日、1バレル42.07ドルと6年ぶり安値に迫っている。


日銀は、展望リポートのシナリオの前提として、ドバイ産原油が1バレル60ドルから70ドルに上昇する前提を置いているが、足元は49ドル程度まで下げている。


日銀内では、40ドル台で推移すれば、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は、そう遠くない時期に前年比マイナスになり、その時期が長期化するリスクも意識しているもようだ。


<中国関連データ重視し始めた日銀>


ただ、直ちに追加緩和に動くべきとの声は、日銀内では皆無だ。4─6月期GDPが前期比・年率マイナス1.6%になったものの、日銀内では7─9月以降に景気は持ち直し、15年度の成長率はしっかりとしたプラスを確保。需給ギャップは4─6月期に一時的にマイナスになっても、7─9月期以降に需要超過に転じ、物価を押し上げるメカニズムが働くと見ている。


しかし、中国経済の減速が一段と深刻化したり、長期化することになれば、輸出・生産のルートと、商品価格下落による物価やインフレ期待への影響という2つのルートで、日銀シナリオに下方圧力がかかる懸念もある。


12日公表の議事要旨では、中国経済について「構造調整に伴う下押し圧力を背景に、成長モメンタムが鈍化しているとの認識で一致した」と盛り込まれた。


中国経済の動向によっては、日銀が重視する期待インフレ率に下押し圧力がかかり、2%の物価目標達成がより困難になる展開も捨てきれない。


日銀は以前にも増して、中国経済の動向と日本経済への波及の程度について、丹念に点検していくとみられる。


#経済統計