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コラム:外貨準備取り崩しが招く中国発「量的引き締め」 | Reuters

中国当局は資金流出の加速に対応して外貨準備を取り崩し、世界中に「量的引き締め」とも呼ぶべき影響をもたらそうとしている。


他の国々が金融緩和を行わない限り、リスク資産、そして世界の経済成長にとっての金融環境は引き締まるだろう。


中国人民銀行は2003年からの10年間で外貨建て資産を約4兆ドル積み上げた。貿易によって流入したドルは米国債などの証券に投資され、人民元の上昇を抑える役割を果たしてきた。


しかし今、そのマネーの流れが逆転している。中国が人民元を切り下げ、半ば変動相場制に踏み出すという実験を行って以来、逆流は加速した。


中国は7月に外貨準備を前年同月比5000億ドル超も取り崩した。一方で様々な報道によると、人民銀行は8月11日の元切り下げ以来、1000億ないし2000億ドルを費やした可能性がある。


ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏は顧客向けノートで「人民銀行は外貨準備を売却し、世界の固定利付資産の保有を減らすことによって人民元を防衛している。この行動は量的緩和(QE)の巻き戻し、言い換えれば量的引き締めに相当する」と指摘した。


人民銀行が買って抱え込んでいた資産の規模は、米連邦準備理事会(FRB)のQEをすべて合わせた額より大きいことを銘記したい。


中国による外貨準備の蓄積は世界的な金融環境の過度な緩和に手を貸し、金融危機という形でそれが爆発した。この流れが反転すると、金融危機ほどの一時的衝撃はもたらさないにせよ、じわじわと影響が広がってくる可能性がある。


中国による米国債売りの影響は既に顕現化しているのかもしれない。25、26日の米国債入札は低調で、海外中央銀行を含むカテゴリーである「間接入札者」からの応札の弱さが目立った。


また、米国債は市場が緊張にさらされた場合特有の安全資産らしい動きを示していない。11日の人民元切り下げ後に株式市場は動揺したが、10年債利回りは現在2.7%前後と、切り下げ前に比べてむしろ4ベーシスポイント(bp)上昇している。


ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロス氏はツイッターで、中国が米国の超長期債を売っているのではないか、と疑問を呈した。


中国からの資金流出には、いくつもの複雑な要素が絡み合っている。一部は直接的、あるいは間接的投資資金の流出で、一部は中国市民が保有する資金が、厳しさを増した国内の金融環境、または当局による資産差し押さえという脅威を避けて安全な逃避先を求める動きである。

中国発の量的引き締めという考え方に基づけば、過去数週間の市場の乱高下はかなり説明がつく。リスク資産は打ちのめされ、債券も逆流に遭った。安全資産としての、また引き締めは成長を押し下げるという理由での米国債の需要はある程度存在しそうだが、外貨準備による売りという現実と、それが今後も続くかもしれないとの恐怖によってそれは減殺されている。


一連の状況から簡単に抜け出す道は無いかもしれない。中国経済が速やかに針路を転じて資金流入を呼び込むことはなさそうだし、単純に大幅な通貨切り下げを容認する可能性も低い。現実には、中国が資本を引き付け、世界の金融環境を刺激し続けてきた10年余が終わり、中国と諸外国は長期間にわたって道を引き返すことになるのかもしれない。


それはバブルが弾けるというよりは、長くゆっくりとしたデフレに例えた方が正しそうだ。


#グロス