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アンソニー・グラフトン 『テクストの擁護者たち: 近代ヨーロッパにおける人文学の誕生』

「古代のテクストは、今を生きる人がキケロのように優れた弁論家になるための模範として読まれるべきだ!(だから、古代のテクストが書かれた歴史的状況はあんまり重要じゃない)」という学者たちのグループと「いや、そのテクストが書かれた背景を理解しないと、そのテクストを本当に読んだことにならないのでは!?」という学者たちのグループの争いだ。


単線的な発展として歴史を描こうとすると、すぐに「どちらのグループのほうが優れていて、生き残ったのか」という話になりがちだ。しかし、そうじゃない。簡単にラベリングして、勝ち負けは決められないのだ。古代のテクストから教訓を抽出する読み方をしていたグループが、テクストの歴史性を重要視するグループによって考えられたテクストの読み方の技術を使用することで、テクストをよく理解できるようになり、さらに深い教訓を引き出した、という例がわかりやすいだろう。敵対したグループのように見えるものが相互に関連しあっている。

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