ハンガリーには、旧ユーゴスラビアのセルビアを経由して多い日には9000人を超える難民や移民が押し寄せており、政府は15日、セルビアとの国境に近い南部の2つの県に「非常事態」を宣言しました。国境付近には、すでに多くの警察官が配置されていますが、これによって軍の部隊を展開させることが可能になるなど、政府にはより強い権限が与えられることになります。
15日には、違法な入国を防ぐために国境沿いに設置されたフェンスを破損した場合の罰則を設けたり、密入国をあっせんした際の刑罰を重くしたりするなど、国境管理を強化する法律も施行され、すでに170人以上が拘束されました。
ハンガリーはさらに、セルビアとの国境沿いに設置していたフェンスをルーマニアとの国境にも建設するための準備を始めました。
隣国のセルビアには、国境管理が強化されたことによって、ハンガリーに入国することができない大勢の難民らが足止めされていて、抗議活動を行っているほか、セルビアもハンガリーに対して国境を開くよう強く求めています。周辺国などはハンガリーの対応に反発を強めていますが、事態打開の見通しは立っておらず今後、さらに混乱が広がることも懸念されます。
ハンガリー入国認めず 難民ら足止め 緊張高まる NHKニュース
シリアなどの中東やアフリカからドイツなどを目指す難民や移民らの経由地となってきたハンガリーでは、多い日には9000人を超す難民らへの対応に苦慮していて、14日以降、国境管理を強化して、事実上、難民らの入国や通過を認めなくなりました。
国境沿いには高さ4メートルのフェンスが設置され、ハンガリー側では大勢の警察官が厳重な警備に当たっています。このため、ハンガリーの南側で国境を接するセルビアでは大勢の難民らが足止めされていて、若い男性たちが国境のゲートの前に押し寄せ、「国境を開けろ」と抗議の声を上げるなど緊張が高まっています。
セルビアのステファノビッチ内相は、15日、難民らがテントを張って泊り込みをしている国境地帯を訪れ、セルビアだけでは対処できない問題だとして、16日にハンガリー側と協議し、国境を開くよう求める意向を示しました。
一方、現地からの報道では、一部の難民や移民はハンガリーへの入国を諦めらめて、セルビアからクロアチアを経由してヨーロッパの北部を目指す新たなルートを移動していると伝えられています。
ハンガリーと国境を接するセルビアのホルゴシュでは、ハンガリーに入ることができずに大勢の難民や移民が足止めされています。難民らはテントを張るなどして過ごしていて、横たわる人の姿も多く見られ疲れている様子です。また、若い男性たちは国境のゲートの前に押し寄せ、「国境を開けろ」などと声を上げていました。
イラクから来たという男性は「食べ物も水もなく、本当に厳しい状況だ。私たちは人間なのだからハンガリーは助けてほしい」と訴えていました。
国境沿いには高さ4メートルのフェンスが設置され、ハンガリー側では大勢の警察官が厳重な警備に当たっていて、国境管理を強化していることがうかがえました。