入門書は、読者にとっては最初に手に取るべき本だが、著者にとっては、多くの研鑽を経て初めて執筆できる。トマスが入門書である神学大全を晩年に執筆したのは象徴的な事例だ。優れた入門書は、専門的研究の最もよい部分を深めつつ、初学者に分かり易く伝えるという、相反する二つの方向性を統合してる
単に歯応えのない分かりやすい言葉と、多くの経験と思索を経て初めて生まれてくる柔らかな言葉は、全く異なっている。この世界のある領域について知悉しているからこそ発することができる、柔らかいが同時に力強い新鮮な言葉。そのような言葉によって紡ぎ出された書物であって初めて真の入門書と言える
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