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日銀は20日、今の大規模な金融緩和策を修正して長期金利の変動幅の上限をこれまでの0.25%程度から0.5%程度に引き上げることを決めました。

円安が是正されて物価上昇に歯止めがかかるという見方がある一方で、住宅ローンの固定金利の上昇につながるなどの指摘もあり、緩和策の修正が日本経済にどのような影響を及ぼすかが焦点となります。

日銀の黒田総裁は20日の会見で、今回の修正は利上げや金融の引き締めではないとしたうえで、経済にマイナスの影響が出ることはないという認識を示しました。

ただ、市場では事実上の金融引き締めだという受け止めが広がって、円高ドル安が加速しました。

円相場が円高方向に進めば、物価上昇に歯止めがかかり、家計や企業の負担が軽減されるという見方が出ている一方で、長期金利の上昇につながり、企業向けの融資の金利や住宅ローンの固定金利が上昇する可能性があるなどマイナスの影響も指摘されています。

このため日銀は、今回の修正が日本経済にどのような影響を及ぼすのかを見極めながら金融緩和を継続し、賃金の上昇を伴う2%の物価目標の実現を目指すとしています。

日銀はこれまで長期金利の変動幅の上限の引き上げは金融の引き締めにあたるため考えていないという立場でしたが、これを覆して修正に踏み切った形になったことに金融市場からは戸惑いの声もあがっているだけに、丁寧な説明が求められます。

まずはFRB連邦準備制度理事会の金融政策を決める会合の元副委員長でニューヨーク連銀の総裁を務めたウィリアム・ダドリー氏です。

Q.日銀の政策修正についてどう受け止めている?
A.タイミングはやや意外でサプライズだ。

第1に「日米の金利差を縮小させ」、第2に「2%の物価目標に向かって日銀は、前進を確信している」というシグナルを発したと受け止められ急激な円高を引き起こすことになった。

Q.なぜ、修正に踏み切ったと考えている?
A.日本でも物価の上昇が進んでいることや現在の水準に金利を抑えようとすれば日銀がますます大量に国債を購入しなければならなくなることなど多くの要因がある。

私の理解では、すでに国債を売買する市場にはゆがみが生まれ短期と長期の金利にねじれが生じている。

今回の修正はYCCと呼ばれる短期金利に加えて長期金利に対しても誘導目標を設ける「長短金利操作」を終わらせるためのよい第一歩だと思う。

続いて、日米の金融政策に詳しいボストン大学パルディースクールのウィリアム・グライムス教授です。

Q.日銀の金融政策修正をどう見ている?
A.日銀が長年続けてきた金融緩和の正常化、つまり量的緩和の縮小と短期金利の引き上げに向けた不可欠な第一歩だ。

今回の修正で量的引き締めの初期段階が見えてきたと思うがそのスピードは緩やかなものになる。

日銀が景気が後退する心配がないと判断したときのみ短期金利を引き上げるだろうが早くても2023年後半まではありえない。

最後に資産運用会社、コロンビア・スレッドニードルのニューヨークオフィスでシニアアナリストを務めるエドワード・アルフセイニ氏に聞きました。

Q.ニューヨーク市場でも事実上の金融引き締めと受け止められた?
A.そうだ。日銀は長短金利操作からの脱却に近づいたと市場では見られた。金融引き締めであり、タイミングが驚きだったので、外国為替市場は大幅な円高になっている。

Q.なぜこのタイミングで修正に踏み切ったと思うか?
A.理由については2つあると見ている。

1つは黒田総裁が言ったように、取り引きの量を増加させて今、市場の機能を改善させるためだと思う。長短金利操作のせいで債券市場の機能は著しく効率性を失い始めていた。市場機能の観点から、より流動性をもたらし、市場の負担を軽減するために、長短金利操作の金利の幅を広げることは理にかなっている。

もう1つは、黒田総裁が言わなかったことだが、日銀が近いうちに長短金利操作を終えるという強いメッセージを発信していると私は受け取っている。

Q.今後の円相場についてどう見ている?
A.1ドル=130円台という水準よりもっと円高になる可能性があると思っている。

ことしのほとんどの時期で円相場は値下がりしてきた。今回の決定を受けて資本が海外から日本に戻り始めるだろう。

FRBは利上げのペースを緩め始めていて、日銀はちょうど今、金融引き締めのメッセージを発信し、両者の政策の方向性が円高を強力に後押ししている。

来年は米国の景気が軟着陸し、インフレと金利がピークを超えることで世界市場が落ち着くと期待していた向きは、日銀が20日に実施した「ショッキングなピボット」(政策転換)によって再考を迫られるかもしれない。

世界の中銀の中で最もハト派の日銀が、金融システムから流動性を吸収し始めるまでには、まだ距離がある。しかし、「イールドカーブコントロール」を修正し、長期金利の水準を実質的に2倍に引き上げる今回の決定により、日銀がいずれ流動性拡大を中止する可能性が視界に入ってきた。

今回の決定は、重要な意味を持つだろう。日銀は過去数十年間にわたって、デフレとの長い闘いを続ける中で、世界の先頭に立って超緩和・非伝統的金融政策を実施してきた。最近では10年物国債利回りを0.25%程度に抑えるため、無制限の国債買い入れを表明してきた。

米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、その他の西側中銀が今年、利上げや量的引き締め(QT)によって程度の差こそあれ流動性を引き揚げているのとは対照的に、日銀と中国人民銀行は再び流動性を供給している。

日銀が後退すれば、少数派に残るのは中国人民銀行だけになるだろう。その中国ですら、経済活動再開に成功して緩和バイアスを修正、ひいては転換しないとも限らない。

来年の世界市場で流動性供給が縮小することは、以前から予想されていた。だが、日銀による資産購入中止の可能性をこれほど早く想定内に入れていた人は、ほとんどいなかっただろう。

シティ(ロンドン)のマット・キング氏は、日銀は過去1年間に約2000億ドルの債券を購入したが、来年は減額される「可能性が非常に高い」ようだと語る。

「これはQTではない。しかし、リスク性資産を支えてきた中銀の流動性供給が徐々に引き揚げられ、場合によっては引き締めに転じる度合いが強まったのは間違いない。そうなれば、リスク性資産にマイナスの影響が及ぶ」とキング氏は述べた。

キング氏は日銀によるサプライズの前、主要中銀が来年の世界の金融システムから1兆5000億ドル前後の流動性を吸収すると予想していた。他の条件が同じなら、これは世界の株価を15%押し下げる影響があるという。

<来年は険しい道のり>

モルガン・スタンレーのアナリストチームは今年6月、キング氏よりも大規模なQTを想定していた。FRB、ECB、BOE、日銀の主要4中銀が、その時点からの1年間で合計4兆ドル以上の流動性を吸収するとの予想だ。

モルガンは「過去最大の中銀バランスシートの拡大は、過去最大の縮小へとつながる」としていたが、日銀だけは、ほぼ流動性を吸収しないと想定していた。

FRBはその後、9兆ドル近くに膨らんだバランスシートを月額950億ドル縮小していく計画を示した。償還を迎えた国債モーゲージ担保証券の元本等を再投資しないという手法だ。

ECBは先週、5兆ユーロ(5兆3100億ドル)の保有資産について、債券の償還資金の再投資を中止する計画を示した。資産購入プログラム(APP)の保有資産を来年3月から月額150億ユーロ縮小し、7月に縮小ペースの見直しを行うとしている。

BOEは先週、QTのペースを速め、来年第1・四半期に97億5000万ポンド(118億7000万ドル)の国債を売却すると発表した。

日銀は他の中銀に大きく遅れを取っているが、20日の発表で本当にサプライズだったのは、その方向ではなくタイミングだ。日本のインフレ率は物価目標の2倍近い4%弱に達しており、日銀のバランスシートと国内市場のゆがみは急速に拡大している。

一方、日銀は国際舞台において政策的な「仲間はずれ」の様相を強めていた。先進7カ国(G7)においては確実にそうだ。

ある意味で20日の「青天のへきれき」は、金融市場にとって史上まれに見る予測不能で、波瀾万丈な1年の締めくくりとしては完璧だ。来年もまた、順風満帆とは程遠い1年になることをうかがわせる出来事でもあった。

スタンダード・チャータードのG10調査責任者、スティーブ・イングランダー氏は「2023年の第1部は困難に満ちているかもしれない。主要3中銀の金融引き締めと流動性吸収が、資産の価格決定を支配する可能性がある」と予想した。

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#日銀#金融政策決定会合

政府は21日、関係閣僚の会議を開き、12月の月例経済報告をまとめました。

この中で「個人消費」は、年末年始の旅行予約が去年を上回る見通しとなるなど、旅行や宿泊に関するサービス消費が回復していることや、水際対策の緩和で外国人旅行者が増えたことに加え、円安を背景に1人当たりの消費額も3年前の同じ時期に比べ大きく増加したことなどから「緩やかに持ち直している」と判断しました。

一方「生産」は、世界的にスマートフォンとパソコンの需要の拡大が一段落して電子部品の生産が低下しているとして「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断を引き下げました。

これらを踏まえて、景気全体については「緩やかに持ち直している」という基調判断を維持しました。

「先行き」については、物価の上昇のほか、中国での新型コロナの感染の再拡大で中国経済が減速する懸念があることから、感染動向に十分注意する必要があるとしています。

#経済統計