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焦点:日銀展望リポートと追加緩和、浮上した直結しない可能性 | Reuters

日銀の黒田東彦総裁は、物価の基調に強い自信を示し、30日発表の展望リポートで国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)が下方修正されても、追加緩和に直結しない可能性をにじませた。ただ、マクロ指標の弱さが継続した場合、需給ギャップのマイナス幅拡大を招き、デフレへの逆戻りリスクも浮上しかねない。日銀は実体経済と物価の基調をめぐる難易度の高い判断を求められている。


<黒田総裁、GDP・CPI見通しと物価の基調を分離>


黒田総裁は、金融政策の現状維持を決めた7日の金融政策決定会合後の会見で、日銀が今月30日に示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」における経済成長率(実質GDP)・消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)上昇率見通しと、物価の基調との関連を問われ、「展望リポートの成長率および生鮮食品を除くCPI上昇率の2つだけで、物価の基調がうんぬんされるわけではないと思う」と語った。


成長率は、新興国経済減速の影響で輸出・生産が低迷する中、4─6月期に続いて7─9月期も前期比マイナスに落ち込む可能性が民間エコノミストから指摘されている。コアCPIも原油価格下落の影響で、足元の前年比は小幅マイナスに沈んでいる。


こうした中で日銀は、展望リポートで2017年度までの経済・物価見通しを示すが、15年度を中心に下方修正が必至の情勢だ。7月に公表した同リポートの中間評価では、15年度の実質GDPが前年比1.7%増、コアCPIが同プラス0.7%が見込まれている。


市場では、経済・物価見通しの下方修正が確実視される中で、30日の金融政策決定会合において、日銀が追加緩和に踏み切るとの観測が広がっている。


しかし、この日の黒田総裁の発言は、展望リポートで実質GDPとコアCPIの見通しが下振れても、物価の基調が改善しているとの判断が維持できれば、追加緩和には直結しないとの考えをにじませたと言える。高まる市場の追加緩和観測をけん制した格好だ。


<物価の基調に自信示す黒田総裁>


日銀は物価の基調について、需給ギャップとインフレ期待、賃金動向などで総合的に判断するとの立場を繰り返している。


黒田総裁は会見で、需給ギャップについて「マクロ的な需給バランスは労働面を中心に着実に改善している」と語った。


インフレ期待に関しても、企業の価格設定行動や家計の物価観などを中心に「予想物価上昇率も長い目で見れば、全体として上昇しているという判断は変える必要はない」と断言。


日銀が新たに公表を開始したエネルギーを除いたコアCPIが8月に同プラス1.1%まで上昇率を高めていることなどを挙げ、「物価の基調は着実に高まってきている」と強調した。


<賃上げ持続なければ、期待・価格設定行動に悪影響>


もっとも、さらなる基調の改善に向け、日銀が重視している来年の賃上げは、世界経済減速の強まりを受け不透明感が強まっている。経済界の中には、新興国経済の停滞が継続すれば、企業収益の下振れ要因になるとの声も出始めている。


ただ、黒田総裁は企業収益が過去最高水準にある中で「ベアも含めてさらに加速していく余地はある。そういう状況は整ってきている」と期待感を表明。そのうえで「賃金のさらなる上昇は非常に重要な要素。どのように実現していくか関心を持って見守っている」と語った。


来年の賃上げが期待通りに行われなければ、家計のインフレ期待に悪影響を与えるとともに、消費低迷を通じて企業の価格設定行動が消極化することは避けられない。


また、黒田総裁はGDPに占める製造業の割合が20%程度であることを指摘し、生産が伸び悩んでも、過度に悲観する必要はないとの立場を鮮明にした。


しかし、中国など新興国経済の減速が長期化した場合、製造業の売上下方修正を起点に需給ギャップがマイナス方向に拡大するリスクが顕在化しかねない。


その傾向を先取りし、株価下落や円高が進めば、企業や個人の心理を冷やし、高まってきたインフレ期待に冷水を浴びせることにもなりかねない。


これらの動向次第では、昨年10月末の追加緩和のように、日銀が物価2%目標の達成に向けて強い姿勢を示す局面が出てくる可能性もありそうだ。


日本銀行

【記者会見】黒田総裁(10月7日) http://twme.jp/boj/01cI


日本銀行

金融経済月報(10月) http://twme.jp/boj/01cG

Bank of Japan

Monthly Report of Recent Economic and Financial Developments (October, Summary) http://twme.jp/boj/01cH


http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151007#1444214261
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151007#1444214279


#アベノミクス #リフレ