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米FRB 政策金利の追加利上げ見送り NHKニュース

FRBは、先月、7年間にわたって続けてきたゼロ金利政策を解除して、利上げを始めることを決定し、政策金利を0.25から0.5%の幅に引き上げました。
そして、ことし初めての金融政策を決める会合を27日までの2日間、開き、市場の大方の予想どおり政策金利をいまの水準まま据え置き、追加の利上げを見送ることを全員一致で決めました。
会合の後、発表した声明で、FRBアメリカ経済について「雇用は力強く拡大した」と判断したものの輸出が伸び悩み、去年の後半は成長の勢いが鈍ったと指摘しました。また中国経済の減速や最近の原油価格の急落、それに株価の不安定な動きを踏まえ「世界経済や金融市場の動向を注視している」と言及し、警戒感をにじませました。
FRBは、ことしは4回程度、利上げをする可能性を示してきましたが、世界経済の先行きに不透明感が高まるなか、市場では、次回、3月の会合で追加の利上げをするかどうかが焦点になっています。
これについてFRBは声明で今後の景気動向をみて判断するというこれまでの方針を繰り返すにとどめ、株式市場の不安定な動きが収まるかどうかなどを見極めて次回の会合で利上げの是非を判断する姿勢を示しました。

米FOMCが金利据え置き、世界経済・動向を注視へ | Reuters

米連邦準備理事会(FRB)は、27日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定した。世界の経済・金融動向を注視する姿勢を示す一方、米経済については前向きな判断を維持した。


声明では「世界の経済・動向を注視(closely monitoring)しており、それが労働市場やインフレに及ぼす影響を見極めている」と指摘した。


今回の声明では、経済見通しへのリスクが均衡している、との従来の文言が外れ、代わりに世界経済や金融市場が見通しにどう影響し得るかを検討している、との表現が加わった。


金融政策の道筋に関しては、新たな予想を示さなかったものの、労働市場は引き続き力強さが増し、経済は「金融政策スタンスの段階的な調整」が伴っても拡大する見通し、との判断を示した。

米FOMC声明全文 | Reuters

昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、昨年末に経済成長が鈍化したにもかかわらず(even as economic growth slowed late last year)、労働市場の状況は一段と改善した(labor market conditions improved further)ことを示唆している。家計支出と企業の設備投資はここ数カ月間に緩やかな速度(moderate rates)で増え、住宅部門は一段と改善した。しかし、純輸出は軟調で在庫投資は鈍化(inventory investment slowed)した。力強い(strong)就業者数の増加を含め、最近の広範な労働市場の指標は、労働資源の活用不足がさらにいくらか減少(some additional decline in underutilization of labor resources)したことを示している。インフレ率はエネルギー価格とエネルギー以外の輸入価格の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。将来のインフレを示す市場ベースの指標は一段と低下(declined further)し、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はここ数カ月、総じてあまり変わっていない(are little changed, on balance, in recent months)。


委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。委員会は現在、金融政策の運営姿勢の緩やかな調整(gradual adjustments in the stance of monetary policy)により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は引き続き力強さを増すと予測している。エネルギー価格のさらなる下落を部分的な原因として、インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれる(inflation is expected to remain low in the near term)が、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される。委員会は世界経済と金融動向を注意深く監視(closely monitor)し、労働市場やインフレ、そして見通しへのリスクバランスに与える影響を評価する。


経済の見通しに鑑みて(given the economic outlook)、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0.25─0.50%に維持することを決定した。金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的で、それによって労働市場の状況の一段の改善と、2%のインフレへの回帰を支える。


FF金利の目標誘導レンジの将来的な調整の時期と規模を決めるに当たり、委員会は目標にしている最大雇用と2%のインフレとの比較で経済状況の実績と見通しを評価する。この評価は、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。現時点でインフレ率が2%に届いていないことを考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた進捗と期待を注視する。委員会は、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しない形で進むと予測する。FF金利は当面、長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性がある。ただ、FF金利の実際の道筋は、今後入手するデータがもたらす経済見通し次第である。


委員会は、保有する政府機関債とエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)の償還元本をMBSに再投資し、米国債の償還金を新発債に再投資する既存の政策を維持する。そして、FF金利の水準が十分に正常化されるまで、そうすると想定している。委員会による長期証券の保有を相当な水準で維持するこの政策は、金融環境を緩和的に保つ上で役立つはずだ。


政策決定の投票で賛成したのは、ジャネット・イエレン委員長、ウィリアム・ダドリー副委員長、ラエル・ブレイナード、ジェームズ・ブラード、スタンレー・フィッシャー、エスター・ジョージ、ロレッタ・メスター、ジェローム・パウエル、エリック・ローゼングレン、ダニエル・タルーロの各委員。

FRB: Press Release--Federal Reserve issues FOMC statement--January 27, 2016

Information received since the Federal Open Market Committee met in December suggests that labor market conditions improved further even as economic growth slowed late last year. Household spending and business fixed investment have been increasing at moderate rates in recent months, and the housing sector has improved further; however, net exports have been soft and inventory investment slowed. A range of recent labor market indicators, including strong job gains, points to some additional decline in underutilization of labor resources. Inflation has continued to run below the Committee's 2 percent longer-run objective, partly reflecting declines in energy prices and in prices of non-energy imports. Market-based measures of inflation compensation declined further; survey-based measures of longer-term inflation expectations are little changed, on balance, in recent months.


Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee currently expects that, with gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace and labor market indicators will continue to strengthen. Inflation is expected to remain low in the near term, in part because of the further declines in energy prices, but to rise to 2 percent over the medium term as the transitory effects of declines in energy and import prices dissipate and the labor market strengthens further. The Committee is closely monitoring global economic and financial developments and is assessing their implications for the labor market and inflation, and for the balance of risks to the outlook.


Given the economic outlook, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 1/4 to 1/2 percent. The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting further improvement in labor market conditions and a return to 2 percent inflation.


In determining the timing and size of future adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and expected economic conditions relative to its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial and international developments. In light of the current shortfall of inflation from 2 percent, the Committee will carefully monitor actual and expected progress toward its inflation goal. The Committee expects that economic conditions will evolve in a manner that will warrant only gradual increases in the federal funds rate; the federal funds rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected to prevail in the longer run. However, the actual path of the federal funds rate will depend on the economic outlook as informed by incoming data.


The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction, and it anticipates doing so until normalization of the level of the federal funds rate is well under way. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.


Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; James Bullard; Stanley Fischer; Esther L. George; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; Eric Rosengren; and Daniel K. Tarullo.

コラム:FRBがこだわる「フィリップス曲線」の信頼度 | Reuters

米連邦準備理事会(FRB)は27日に終わった今回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。世界的な金融市場の混乱に配慮したわけだが、同時に雇用増加が物価を押し上げるとの確信もさらに強めている。


市場はこの姿勢に好意を示さず、株価は下落した。恐らく株式市場は、FRBがいずれ自身が表明している利上げペースを緩めるとの見方を変えていない。


バークレイズのエコノミスト、マイケル・ギャペン氏は顧客向けノートに「FOMC声明における一番の驚きは、冒頭で労働市場の勢いの強さに言及があった後で、経済成長鈍化を指摘した点だ。通常の場合、声明ではまず経済成長の認識が示されてから、労働市場の評価に移る。今回最初に労働市場のしっかりした勢いが取り上げられたのは、経済活動の鈍化が特にわれわれの予想通りに一時的要因によるものであるとすれば、FOMCは労働市場から発せられるシグナルをより信頼していることを表している」と記した。


エネルギー価格下落に起因する悪影響が一時的だという考え方の根幹をなすのは、マクロ経済において失業率と物価上昇率が歴史的にかなり安定した相関関係にあることを示すフィリップス曲線の存在だ。


昨年、何人かのFRB当局者は失業率と物価上昇率の相関度が低下している可能性があるとして、フィリップス曲線の妥当性に疑問を投じた。


しかしこうした意見は、FRBのイエレン議長のこれまでの発言だけでなく、今回のFOMC声明の論理展開でも強く否定されることとなった。


声明は「インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれるが、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される」としている。


これはフィリップス曲線が機能しているというFRBの想定がいかに揺るぎないかを如実に物語っている。雇用によるインフレ醸成の力が、エネルギー安による一時的な物価押し下げ効果を圧倒するというのがその主張だ。


FRBはこうした見方とバランスを取る形で、「世界経済と金融動向を注意深く監視する」との認識も声明に盛り込んだ。もちろんこれによって、中国経済や金融市場の動揺が新興国コモディティ、ひいては米国経済に打撃をもたらす可能性にFRBが留意していることを意味する。つまり世界経済の情勢が悪化した場合は、闇雲(やみくも)に利上げはしないと投資家に対して請け合う意図があったのだろうが、これだけでは投資家が期待していたほどの安心感はもたらさなかった。


<路線堅持>


今後の利上げペースについて、年内に4回というFRBの示唆する見通しと、市場の織り込むシナリオには依然としてはっきりした違いがある。


CMEグループのフェデラルファンド(FF)先物は現在、3月の利上げ見送り確率を70%と見込んでおり、26日とほぼ同水準だ。より長期でも、12月でも政策金利の誘導目標が今の0.25─0.50%にとどまる確率は約33%と、声明発表前からほとんど変化していない。


国際通貨基金IMF)チーフエコノミストのオリビエ・ブランシャール氏は、最近ピーターソン国際経済研究所への寄稿文の中で「米国のフィリップス曲線は生きている。(わたしはできることなら『なお活発に機能している』と言いたいが、それは誇張になる。失業率と物価上昇率の関係が決して非常に緊密というわけではない)」と記した。(こちら)


これはつまり、失業率低下は引き続き物価を押し上げるが、そのペースは弱まっているということだ。ブランシャール氏はまた、消費者の予想物価上昇率は長期的に安定度が強まっているとも論じた。それが正しければ、物価が急加速して自己永続的なインフレが起きる可能性は小さくなるので、FRBにとっては束の間の景気過熱を許容するコストも低くなるだろう。


物価が逆に下振れるかどうかとなると不透明感は増すように思われる。ただ市場の各種相場水準からすれば、少なくともFRBが長期的に2%の物価上昇率目標を達成できると、投資家が想定していないと見受けられる。


一歩引いて眺めてみると、今回のFOMC声明にはリスク資産にとって好ましい材料は乏しい。FRBは雇用が物価を押し上げるので予定通り利上げするという考え方を維持しただけでなく、12月の利上げ開始以降で「経済成長が鈍化した」と認めてしまった。


次の焦点は2月10日に予定されるイエレン議長の議会証言になるだろう。そのころまでにはFRBの姿勢が幾分変化しているかもしれない。


しかし当面、FRBの今の立ち位置から金利正常化プランの後退までの距離はまだそれほど短くはないように見える。

#FRB