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市川海老蔵「なぜ見えないリスクに悩むのか」

私は、舞台上の1秒に執念を燃やして生きています。そうすることで、舞台外での1秒1秒もとても大切に思えてきます。

私は以前から、歌舞伎も含めた日本の伝統芸能を世界に広めたいという思いがあり、パリやロンドン、シンガポールなどで公演を続けてきました。海外の人に“本物”に触れてもらうことが重要なので、登場人物が英語で話すようなことはしません。あくまで、日本でやっている古典歌舞伎をそのまま演じるのです。ただし、比較的動きが多く、視覚的に理解しやすい演目を選んで上演しています。

私はこのような考え方をしているので、日本企業の会議などに決定権のない人間が何人も参加して「ああでもない」「こうでもない」と話し合っているのを見ると、なんてもったいない時間の使い方をしているのだろうと思ってしまいます。

「それまでの努力」のようなものを評価しすぎるのも問題です。たしかに、みんなで頑張ってきたかもしれない。たくさんのお金を研究につぎ込んだかもしれない。でも、たとえば電化製品なら、お客様が使いやすいものが一番で、必要のない機能を「研究成果だから」「頑張ってきたから」と追加するのは誰のためにもなっていないわけです。

歌舞伎の公演は、1カ月にわたって同じ演目を同じ配役で毎日4〜8時間行います。一見してとても非効率です。しかし、物事の本質を掴むうえで、毎日同じことをするのは大切なことです。同じことを毎日続けるからこそ0.01ミリメートルの違いに気づける。一流のアスリート、芸術家、経営者と呼ばれる人たちが、毎日のルーティンを大切にするのは、きたるべき決断のための感覚を研ぎ澄ませているのでしょう。

争いを避け、みんなと仲良く歩調を合わせるのが、日本企業では歓迎されるのかもしれません。ですが、それでは本質を見失います。愛想笑いはもうやめましょうよ。早く「八方美人」をやめないと、組織はもたないのではないですか。このままでは、日本は世界で勝負できないでしょう。

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