ベラルーシではヨーロッパ最後の独裁者とも呼ばれるルカシェンコ大統領が1994年以来、22年間、政権を担っていて過去の選挙では野党支持者を拘束したり、メディアを弾圧したりしたことからEUは2011年、政府関係者らに対し、資産凍結やEU域内への渡航禁止などの制裁を科していました。
EUは15日、外相会議を開き、ベラルーシが去年8月、すべての政治犯を釈放し、人権状況に改善が見られることや、去年10月に行われた大統領選挙では明らかな弾圧行為も見られなかったとして、ルカシェンコ大統領を含む170人と企業3社に科していた制裁を解除することを決めました。
ただ、武器の禁輸は維持するということで、独裁政権によって民主的な政治活動が阻害されないかどうか今後も慎重に見極めていく考えです。
旧ソビエトのベラルーシはロシアへの政治的、経済的な依存度が高い一方、ウクライナ東部で起きたウクライナと親ロシア派の戦闘を巡っては、停戦合意に向けた交渉を後押ししたことから欧米から一定の評価を受けていて、今回の制裁解除をきっかけにEUとベラルーシの関係改善に弾みがつくのか注目されます。
EUがベラルーシに対する資産凍結などの制裁を解除すると決めたことについて、ベラルーシ外務省の報道官は声明を発表し、「歓迎する。完全な関係正常化に向けた重要な一歩で、ベラルーシとEUの協力の拡大に向けた新たな可能性を開く」と高く評価しました。そのうえで、「ベラルーシはEUやEU加盟国との間で、お互いの利益にかなう問題については建設的な対話を続ける用意がある」としています。
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