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ベラルーシのルカシェンコ大統領は、みずからの辞任を求める市民による大規模な抗議活動の発端となった大統領選挙から9日で1年となるのにあわせて、首都ミンスクで記者会見を行いました。

8時間以上に及んだ会見の中で、ルカシェンコ大統領は東京オリンピックに出場したあと帰国を恐れて隣国のポーランドに亡命した陸上女子のチマノウスカヤ選手について初めて言及し「彼女は操られないかぎり、そんなことはしない」と述べて反政権側による陰謀だと主張しました。

一方、ルカシェンコ大統領は、辞任の意向はあるとしながらも「私の退任後に反体制側の集団から誰かが選ばれると、すべてを壊し始めるだろう」と述べ、辞任の具体的な時期には触れませんでした。

そのうえで、大統領権限の一部を、政権主導の「国民会議」と呼ばれる組織に移す考えを明らかにしました。

ルカシェンコ大統領は、市民への弾圧に対して欧米からの批判や圧力が高まる中、後ろ盾となっているロシアとの関係を強化しながら強気の姿勢を崩しておらず、引き続き権力に固執する構えを見せています。

ベラルーシのルカシェンコ政権は、国内で1年前のような大規模な抗議活動がほとんど行われなくなった今、弾圧の矛先を独立系のメディアや市民団体に向けています。

ベラルーシの人権団体によりますと、先月の時点で少なくとも25人のジャーナリストが刑務所などに収容されているほか、50以上の非営利団体が活動の停止に追い込まれたということです。

このうち、両親を亡くした子どもたちやDV=ドメスティック・バイオレンスの被害者への支援活動を行うNGO「イメナ」は先月、突然、警察の捜索を受けたうえ、事務所が閉鎖されました。

「イメナ」のメンバーの女性は、ベラルーシの実態を日本にも伝えたいとNHKの取材に応じました。

この中で、このメンバーは「われわれのように主体的に活動する人たちは、政権にとって管理が難しく、その存在自体が不都合なのだろう」と述べ、ルカシェンコ政権は政治活動とは無縁でも活発に活動する市民団体が、反政権派に転じかねないと警戒を強めていると指摘しました。

また、首都ミンスクの今の状況については「自分の意見を持ち表現する可能性がある人は誰であれ排除されてしまう。いつ拘束されるか分からないという緊張感に包まれている」と訴えたうえで、多くの人が抑圧や迫害に耐えかねて国外へ避難していると明らかにしました。

こうした中でも、今の状況は独裁政権を事実上許容してきた国民にも責任があるとして、みずからは可能なかぎり国内に残りたいという考えを強調しました。

ベラルーシのルカシェンコ大統領の退陣を求めて抗議活動を続ける反政権派のチハノフスカヤ氏は9日、大統領選挙から1年になるのにあわせて、活動の拠点としているリトアニアの首都ビリニュスで記者会見に臨みました。

この中で、チハノフスカヤ氏は「暴力と拷問、抑圧によってのみ権力を維持するような違法な大統領と話をすることは不可能だ」と述べ、改めて対決姿勢を示しました。

また、チハノフスカヤ氏は自身のツイッターで「1年間で数千人が政治的な理由で投獄され、3万6000人が拘束された。われわれは、こうした数字がすべて過去のものになるまで闘い続ける」と書き込み、今後も抗議活動を続けていく決意を新たにしていました。

ベラルーシの政治評論家、アルチョム・シュライブマン氏はNHKの取材に対して、去年8月以降の市民の抗議活動を振り返り「参加者の多くは平和的な抗議という戦術を選択し、革命の試みは失敗した。治安部隊は政権に忠実だった」と述べ、軍や治安機関などによる強固な基盤に支えられた政権が揺らぐことはなかったと指摘しました。

それにもかかわらずルカシェンコ大統領が、独立系メディアや市民団体への弾圧を強めていることについてシュライブマン氏は「NGOやメディアを革命を起こす計画の1つで、陰謀だと認識しているためだ」と述べ、ルカシェンコ大統領は欧米がNGOなどを利用して政権を転覆させようとしていると考えていると説明しました。

一方、シュライブマン氏は、事態を打開するカギはルカシェンコ政権の後ろ盾となっているロシアの影響力にあるとしながらも「プーチン氏にとってもベラルーシにロシア寄りの政治家や政党があるわけではない。モスクワは、みずから介入してベラルーシが不安定化することを恐れている」と指摘し、プーチン大統領としてはベラルーシの政治的な混乱がロシアに飛び火することは避けたく、現状の維持を重視していると分析しました。

シュライブマン氏自身も当局から監視されるなど拘束のおそれもあるとして隣国のウクライナに避難していますが「祖国が奪われてしまったという感覚だ。ただ、これは一時的なプロセスだとも考えている」と述べ、状況が改善する機会を待ちながら当面はウクライナからルカシェンコ政権の弾圧の実態を伝える情報を発信していきたいとしています。

アメリカのバイデン政権は9日、ベラルーシで市民による大規模な抗議活動の発端となった大統領選挙から1年になるのにあわせて、ルカシェンコ政権が国民に対する人権の弾圧を続けていることなどを理由に追加の制裁を科すと発表しました。

それによりますと、ベラルーシの主要産業である肥料の国営企業の代表者などに対してアメリカ国内の資産を凍結するなどとしています。

また、ベラルーシオリンピック委員会に対しても自国の選手を政治的な差別や弾圧から守らず、さらにはルカシェンコ政権の資金洗浄を担う役割を果たしているなどとして制裁の対象としています。

バイデン大統領は声明で「ルカシェンコ政権は平和的に抗議活動をする市民を何千人も拘束し、500人以上の活動家たちを投獄するなど、あらゆる犠牲を払って権力にしがみつこうとしている。人権や自由で公正な選挙、表現の自由を重視する者はこうした弾圧に対して立ち上がらなければならない」とコメントしています。

ルカシェンコ政権に対しては同じ日に、イギリス政府が石油製品の取り引きを制限するなどしたほか、カナダ政府も同様の新たな追加制裁を発表しました。

一方、EUヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は8日に発表した声明で、政権側の対応によってはすでに科している制裁に加え、さらなる措置を検討する用意もあるとしたうえで「EUはこれからもベラルーシの人々を支援する。民主的で安定したベラルーシを支えていく」などとしています。

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