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<11> 開高 健氏 その6 : フルハルター*心温まるモノ

――いったい、私が思うに、会社がいろんなことに手を出して、マルチになる。 客の好みと関係なしに資金の流動があって、買収・合併というようなことが着々と行なわれているんだけれども、クラフトマン・シップに憧れて、その頑固さを愛するわたしのような客もたくさんいるだろうと思いたい。 が、諸君はどうだ。


――かりにピエール・カルダンが車体の設計をしたら、いったいどうなる? 流体力学とか何とか、きちんと勉強してない人間がやっていいことのわけがないだろう。 が、世の中、そういうバカなことが容易に起こりうるように動いている。 売れるとなったら、何でもやるのが現代の会社っちゅうやつだ。 要するに、ゼニさえ儲かりゃどうでもいいってことらしい。 ゼニ・プラス・アルファがなければ、ホントのゼニは入ってこないはずなのに。  (1989年録)

  消費者も製品に対して見る目を持ち、「いいもの」がそれなりの価格で売れる時代になれば、クラフトマン・シップも復活するのではないのだろうか。それには、消費者が製品を選択出来るような知識と同時に、製品に対しての愛情を、売り手側が持たなければならない。そうしなければ、いつまでもそんな時代はやって来ないだろう。