砂川事件は、昭和32年に東京のアメリカ軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生など7人が起訴されたもので、1審は無罪を言い渡しましたが最高裁判所が取り消し、その後、全員の有罪が確定しました。
元学生の男性など4人は、当時の最高裁判所の長官がアメリカ側に1審の無罪判決の取り消しを示唆したとする文書が見つかったことを根拠に、「憲法が保障する『公平な裁判』を受ける権利が侵害された」と主張して、再審=裁判のやり直しを求めていました。
8日の決定で、東京地方裁判所の田邊三保子裁判長は、「見つかった文書には、当時の長官の発言とアメリカ側の印象が混在し、発言を具体的に推し量ることは困難だ。1審の取り消しなど、最高裁の判決で示そうとする結論の方向性を推認させる内容には全く言及されていない」と指摘しました。そのうえで、「不公平な裁判が行われるおそれがあったと推測することはできない」として、再審を認めない決定を出しました。
元学生の男性などは、決定を不服として抗告する方針です。