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新社会人よ、「人・本・旅」で自らを磨こう|出口治明の提言:日本の優先順位|ダイヤモンド・オンライン

 わが国の社会は、年功序列賃金から同一労働・同一賃金へ徐々に移行しつつある。そうであれば、同じ職場で働き続けるのであれ、転職するのであれ、自らに付加価値をつけるのが相対的に良い仕事を見つける一番の早道である。自らに付加価値をつけるとはどういうことか。それは勉強することである。


 あまり知られていないが、わが国は先進国の中では実は最も勉強しない国の1つである。まず、教育予算を割いていない。主要国の政府支出における教育関連支出の割合を比較すると(図1)、日本はハンガリーやイタリアと並んで最下位グループに属する。


 次に、大学にあまり行かない(図2)。わが国は、OECD平均と比べると10ポイントも大学進学率が低いのである。加えて、大学で勉強しないこともつとに有名である。それは、日本の大企業が青田買いの一括採用を未だに続けており、成績ではなく、クラブ活動やアルバイト経験などをたずねる面談を重視していることの必然的な結果である(採用内定通知を出した後で成績表を提出させる企業も稀ではない)。

 このように具体的な数字・ファクトを数え上げれば、わが国が低学歴国であって勉強しない国の1つであることがよく分かる。


 昔はそれで良かった。なぜなら戦後の日本は「アメリカに追いつき追い越せ」というキャッチアップモデルをグランドデザインとしていたからである。第二次世界大戦に敗れて瓦礫の山と化した日本を再建するためには、電力・鉄鋼の復興から始めて最終的には(アメリカのGEやGMのように)電気・電子産業や自動車産業を興せばいいというグランドデザインが等しく共有されていた。


 目的や方法論が共有されている社会では考える力はそもそも必要とされない。疑問をはさまず黙々と働く能力が何よりも必要とされたのである。即ち、戦後のキャッチアップモデルには低学歴と青田買いがぴったりと適合していたということである。


 しかし、わが国を取り巻く外部環境は様変わりを遂げた。日本は少子高齢化を始めとする課題先進国となった。もはやキャッチアップのモデルとなる国は世界のどこにも存在しない。わが国の将来は、日本人が自分のアタマで自分の言葉で新しいアイデア(課題解決方法)を考え出すかどうかにかかっている。そのためには勉強が必要だということは自明であろう。


勉強とは何も資格を取ることや大学や大学院に行くことばかりではない。僕はいつも人・本・旅と言っているが、たくさんの人に会い、たくさんの本を読み、机上で考えるだけではなくいろいろな現場に出向いて体験を重ねる(旅)ことによって、初めてヒトは賢くなることができるのである。考える力を鍛えるには、優れた古典を丁寧に読み、先哲の「思考のプロセスをなぞって追体験する」ことが最も有効な方法だ。


 このようにヒトは勉強することによってのみ自らに付加価値をつけることができるのである。では何から勉強すればいいのか。「好きこそ物の上手なれ」という名言がある。自分の好きな事、興味のあることをとことん勉強することが一番であろう。

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