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独バイエル、米モンサントに総額620億ドルでの買収を提案 | ロイター
コラム:モンサント、バイエル提案を逃すのは不得策 | ロイター

バイエルが発表した総額620億ドルのモンサント買収案は、世界的な農業化学市場の循環的な下向き局面に付け込む動きだ。しかし、モンサントの利益が想定通りに改善したとしても、今後投資家がモンサントを今よりよほど高く評価しない限りは、バイエルが足元で全額現金という形で示した確実な提案に匹敵するだけのメリットは得られない。


買収提案は、モンサントの農薬や種子事業で需要が減退し、販売価格が下落している中で行われた。トムソン・ロイターが集計したアナリストの予想では、モンサントの8月までの2016年度の純利益は約19億ドルで、前年度の27億ドルを下回る見通しだ。


バイエルのモンサントに対する関心が報じられる前の5月上旬段階で、モンサントの向こう1年間の予想利益に基づく株価収益率(PER)は17.2倍と、金融危機が最も深刻だった2009年以降で最低のバリュエーションだった。モンサントのPERの過去平均は19.2倍となっている。


もっともモンサントの利益は、事業サイクルが好転するとともにすぐに増加し始めるはずだ。17年度の1株当たり利益は5.61ドルと、16年度見通しの3.97ドルを上回ると予想されている。ただもしもモンサントの1株利益が予想通りになった場合でも、PERがおよそ22倍にまで高まらなければ、バイエルが買収案で提示した株価に達しない。これは、金融危機前の5年間の平均的な株価水準に近い。


モンサントは14年6月に開始した自社株買いを拡大するか、一層のコスト削減を通じて1株利益を押し上げることが可能だ。あるいは別の買い手が登場し、予想利益との比較でもっと大きな金額を喜んで提示する事態もあり得る。これらのシナリオはいずれもリスクを伴うか、モンサントが投資家や競争相手の言いなりになってしまうことになる。バイエルのキャッシュはかなり確実に手に入るように見える。


バイエルのバウマン最高経営責任者(CEO)に買収提示額を引き上げるよう説得しようとするのもまた、バイエル株主の反応を考えれば難しいことが判明するだろう。バイエルの株価は、数週間前にモンサントへの接触開始を報道されて以来で16%下落している。だからこそ、モンサントの種子事業がもたらした手中の鳥(現実の利益)を、みすみすと逃がすのは愚かだろう。