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サークルKサンクス消滅はコンビニ再編の序章に過ぎない|今週もナナメに考えた 鈴木貴博|ダイヤモンド・オンライン

 さて、その観測気球には当然のように消費者の悲しみの声がひっかかってきたようだ。ネットでは早速、サークルKやサンクスがなくなることに対する悲鳴の声があがっている。中でも「チビ太のおでん」や「3個120円のコロッケ」など惣菜やスイーツなどサークルKサンクス独自メニューが消滅することに対する反応がすごい。


 それは私も理解できる。私の場合、最寄駅から自宅まで帰る短い道のりに、ファミマ、セブン-イレブン、サンクス、ローソンが数十メートルの間隔で連なっているような場所に住んでいる。消費者としてはそれなりに使い分けていて、私の場合はスイーツと、趣味の地下クイズの勉強用のそっち系の雑誌の充実度ではサンクスをよく利用している。昨年よくサンクスで買って帰った生クリーム仕立てのシュークリームは、他のコンビニでは手に入らない逸品だった。それがなくなるのかという思いは確かにある。

 出張でよくでかけるニューヨークの場合、マンハッタンの中心部にある日本でいうコンビニ型のお店(向こうではコンビニではなくドラッグストアと呼ぶが)は、ウォルグリーンズかCVSの2種類しかない。「いやデュアンリードもあるぞ」という詳しいかたもいらっしゃるだろうが、実際デュアンリードはウォルグリーンズの子会社で、ニューヨークにおいては看板が別でも品ぞろえやポイントカードは共通だ。


 経営の世界を支配するV字カーブという法則があって、これは横軸にチェーン規模をプロットし、縦軸に利益率をプロットしたグラフのことを指すのだが、そうするとチェーン店の利益はちょうどV字にプロットされる。つまり規模が大きいチェーンと、逆に小さくて特徴が出せるチェーンは儲かるのだが、真ん中の中途半端な規模のチェーンは競争に負けて利益がほとんど出なくなる。


 この利益率が出ない企業群がだいたい業界で3〜8位ぐらいのところに集中する。だからそこから抜け出すためには合併や経営統合を繰り返して規模を追うのが中位のチェーンの経営戦略セオリーになる。ファミマとサークルKサンクスの統合はセオリー通りであるとともに、そこでもまだ理想の到達点には至らないということでもある。


 本当のことをいえば、ファミマがサークルKサンクスと統合したあとに、さらにローソンと経営統合をするぐらいのことをして、本当に看板やオペレーションも一緒にしてしまうような展開まで踏み込めなければ、業界トップのセブン-イレブンに対して優位を築くことはできない。


 しかし、日本人はどうしてもこういうドライな考え方が苦手なようだ。経営統合によってV字カーブをちょっと右に行くところまでで止まってしまう。だから業界3位が中途半端な形で生き残ってしまうケースが日本には多い。ここからさらに一歩進める米国とは違った世界がここにある。