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高浜原発1・2号機 40年超の運転延長 認可へ | NHKニュース

高浜原発1号機と2号機は来月7日が延長認可の期限ですが、設備の耐震性を確認するため実際に原発の設備を揺らす試験についてはこの期限の前には実施せず、補強工事が完了したあとの検査で実施することを規制委員会が了承し、原発の運転に反対する市民グループは「合格ありきの審査で原則40年のルールは形骸化している」などと批判しています。
これについて、行政法が専門で早稲田大学の首藤重幸教授は「必要な安全性の確認を審査という関門を通過してから実施することに疑問を感じる。原発事故のあと、原発行政にはより一層の国民の納得が必要になっていて、規制委員会は説明責任を果たさなくてはならない」と指摘しています。

原子力発電所の運転期間を原則40年に制限する制度は、安全対策の強化の1つとして福島第一原発の事故のあと、導入されました。
電力会社が40年を超えて原発を運転しようとする場合、原子炉などの劣化状況を調べる特別点検を行ったうえで規制委員会の審査を受け、期限までに必要な許認可が得られれば最長20年の延長が1回に限り認められます。


これまでに運転延長を目指し審査を申請したのは、高浜原発1号機と2号機、それに同じ福井県にある美浜原発3号機の3基です。
美浜原発3号機は、運転開始から40年を迎えることし11月末が審査の期限で、来月にも新たな規制基準に事実上合格したことを示す審査書案が取りまとめられる見通しですが、詳しい機器の耐震性など残りの審査が期限までに終わるかが焦点となります。
一方、運転期間を制限する制度の導入で福井県にある敦賀原発1号機など5原発6基が運転を延長せずに廃炉にすることを決めました。


これら運転期間の延長を申請したり廃炉を決めたりした原発を除くと、今後10年以内に運転開始から40年を迎える原発は合わせて9原発14基あります。
運転延長には、新たな規制基準に沿った安全対策の強化などで多額の対策費が見込まれるうえ、審査に合格しても追加の工事が終わるまで再稼働できないため、延長後の稼働期間が20年より短くなる可能性もあります。
実際に高浜原発1号機と2号機は追加の安全対策で2160億円がかかり、再稼働の時期も工事が終わる平成31年10月以降とされています。


電力各社は、今回の高浜原発のケースを踏まえ安全対策の費用や稼働期間を考慮して、運転期間の延長か廃炉かを判断するとみられます。

高浜原発1号機と2号機を巡っては、設備の耐震性の審査で議論がありました。
高浜原発1号機と2号機で想定される最大規模の地震の揺れについて、関西電力は周辺にある3つの活断層が連動した場合を考慮して、原発事故前の550ガルから700ガルに引き上げて申請しました。
その際、従来の耐震性の評価方法で計算すると、一部の設備の設計が揺れに耐えられない結果になることなどから、精度が高いとされる新しい評価手法を用いる方針を示しました。
新しい手法を用いることが妥当かどうか、原発の施設を実際に揺らして確かめる試験は、高浜原発では耐震補強の工事が終わっていないため、タイプが似た別の原発で行われました。
規制委員会はその試験結果を妥当だとする一方、高浜原発でも実際に設備を揺らす試験を行うよう求め、試験は来月7日の延長認可の期限がすぎたあと、補強工事が完了してから行われることになりました。
これについて、規制委員会は「過去の認可でも前例があり、法的な問題はない」としましたが、一部の委員からは「古い原発を動かすことに社会は非常に注目をしており、認可のあとの試験で基準を満たせなかった場合、社会的な信頼は得られないのではないか」という意見が出されていました。

高浜原発1・2号機 最長20年の運転延長を認可 | NHKニュース

高浜原発1号機と2号機について、原子力規制委員会はことし4月、古い原発特有の課題になっている電気ケーブルの防火対策など、見直された安全対策が新しい規制基準に適合していると認め、今月には設備の耐震性などを記した「工事計画」を認可しました。
20日の会合では、許認可で残されていた施設の劣化状況を評価する「運転期間延長認可」について議論が行われ、一部の配管が劣化して薄くなると耐震基準を下回るため、補強工事を行うことなどが報告されました。こうした対応を含め、委員から異論は出ず、最長20年の延長を全会一致で認めました。
これで高浜原発1号機と2号機は、期限とされている来月7日の前に必要な許認可がすべて得られ、最長の運転期間は、1号機が2034年11月まで、2号機が2035年11月までとなります。
福島第一原発の事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度の下で延長が認められるのは初めてです。ただ、実際の再稼働には安全対策の追加工事などを終える必要があり、関西電力は3年以上かかるとしています。

原発の運転期間を原則40年とする制度は、福島第一原発の事故後、安全を重視する世論の高まりを受けて導入されました。原子力規制委員会の審査を受け、必要な認可を得られれば、最長20年の延長が1回に限って認められます。
規制委員会は「運転期間の延長はあくまで例外だ。厳しい審査が必要で、延長できる原発は限られてくる」という見方を示し、これまでに運転開始から40年前後が経過した6基の原発廃炉が決まっています。
こうしたなかで、初めて申請が行われた高浜原発の2基について延長が認められたことで、今後、電力各社は今回の審査を踏まえて、ほかの原発の延長を模索するとみられます。
その一方で「延長は本当に例外的な扱いと言えるのか」と疑問視する声も上がっています。経済産業省が去年示した2030年時点の電源構成の見通しでは、原発の比率を20%から22%としていますが、これを達成するには、15基前後が40年を超えて運転を延長することが前提となります。
これについて、原子力規制委員会の審議会の委員を務める明治大学の勝田忠広准教授は「規制委員会は国のエネルギー政策とは全く関係なく、国民のために、安全性だけを見て審査を進めていくべきだ。福島第一原発の事故の経験を忘れず、常にそこに立ち返って審査を続けてほしい」と話しています。

福島第一原発の事故を踏まえて作られた新しい規制基準の審査には、これまでに高浜原発1号機と2号機を含む3つの原発の7基が合格し、このうち鹿児島県にある川内原発の2基が、現在、運転中です。
廃炉が決まった原発を除くと、全国には16原発42基があり、建設中の青森県大間原発を含め、これまでに26基で再稼働の前提となる審査が申請されました。


審査は「PWR」=加圧水型と呼ばれるタイプの原発が先行しています。申請のあった8原発16基のうち、20日に運転延長が認められた高浜原発1号機と2号機のほか、これまでに、同じ高浜原発の3号機と4号機、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、それに愛媛県にある伊方原発3号機が審査に合格しています。
このうち運転しているのは、去年再稼働した川内原発の2基です。高浜原発3号機と4号機はことし1月以降、順次再稼働しましたが、4号機は再稼働の3日後にトラブルで原子炉が自動停止し、さらに大津地方裁判所の運転停止を命じる仮処分の決定を受け、2基とも決定が覆らないかぎり運転できない状態です。伊方原発3号機はことし7月下旬に再稼働する計画です。
高浜原発1号機と2号機と同様に関西電力が運転期間の延長を目指す、福井県にある美浜原発3号機は、ことし11月末の期限までにすべての審査に合格する必要がありますが、新しい耐震評価の方法などを巡る議論が続いていて、期限までに審査が終わるか見通せない状況です。
このほかのPWRでは、北海道にある泊原発3号機、佐賀県にある玄海原発3号機と4号機、それに福井県にある大飯原発3号機と4号機の審査がおおむね終盤に入っていますが、いずれの原発も合格の具体的な時期は見通せない状況です。
福井県にある敦賀原発2号機は、焦点となっている真下を走る断層の活動性から議論を始めていて、審査は序盤です。


一方、事故を起こした福島第一原発と同じ「BWR」=沸騰水型と呼ばれるタイプの原発は、これまでに新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発など8原発10基で審査が申請されていますが、耐震評価の審査などに時間がかかることから、合格の時期は早い原発でも来年以降になるとみられます。