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ファイナンスが編み出した「後悔の量」を最小化する方法|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン

【問題】
あなたが親から相続した遺産は、時価1000万円のO社株のみである。この株価が今後どう動くかは誰にもわからないが、株価は必ず変動するので、あなたの財産はすでにリスクにさらされている。このとき、あなたならどの行動をとるか?
(1)相続直後にすべて市場で売却し、現金1000万円を手にする
(2)現時点で半分(500万円)だけ売却し、残りは保有し続ける
(3)売却はせずにすべて保有し続ける。

これについては、どれが正解ということはない。株価が上がれば(3)がいちばん得をし、が(1)いちばん損をする。株価が下がればその逆、つまり(1)がいちばん得をし、(3)がいちばん損をする。


ただ、株式投資に自信がない人、現金至上主義にとらわれている人は、株価の予想などしようとせずに、確実に1000万円が手に入る(1)を選ぶはずだ。とにかく後悔するのが嫌で、絶対にリスクをとりたくないからこそ、利益確定に走るわけである。


しかし、本当に後悔したくないのだとすれば、そして、自分の予想にまったく自信がないのだとすれば、選ぶべきは(2)である。これを選んでおけば、株が上がろうと下がろうと、(1)や(3)に比べて最悪になることはない。必ず2番手を維持できる。


株価が下がったときには、「半分だけ売っておいてよかった」、株価が上昇したときには「半分残しておいてよかった」――そう考えられる。つまり、(2)の行動こそが「後悔の量」を最小化する選択肢なのである。このような振る舞いは、ファイナンス「オプション理論」の世界に大いに通じるところがある。


そう、オプションとは後悔しないための取引なのだ。

「外国人経営者は破格の報酬を得ている」というイメージは多くの人に共通するところではないだろうか。日産のカルロス・ゴーン社長の高額報酬などは、毎年のように話題になる。2015年にはついに彼が10億円を超える報酬を手にしたとのニュースもあった。


しかし、世界に目を向けると、そんな話はほほえましく思える。ゴーン社長の報酬額は米CEO(最高経営責任者)のトップ100位にも入ってこないのだ。総じて、日本企業の役員報酬というのは、世界的に見るとかなり低い。


といっても、この数字には実は裏がある。欧米の経営者たちが受け取っている報酬のかなりの割合が、ストック・オプションによる報酬なのだ。

まずP社の株式が現在1万円/株で取引されているとしよう。このとき、P社の経営者であるあなたは、「今後5年間のあいだに1万円で1万株買う権利」をもらう。


重要なのは、株式そのものをもらうのではなく、株式を買う権利をもらうという点だ。ストック・オプション(Stockとは株式のこと)とはこの権利のことを指している。


5年後、あなたの経営手腕のおかげもあって会社の業績は順調に伸び、株価が10倍、つまり10万円になったとしよう。ここでストック・オプションの権利を行使すれば、P社の1万株を1株1万円で手に入れることができる。


そのとき必要な資金は1億円(=1万円×1万株)だが、市場では1株10万円で取引されているため、1億円で手に入れた1万株を市場で売却すれば、10億円が入ってくる。つまり、あなたは9億円(=10億円−1億円)の利益を手にすることができるのである。


もちろん、経営がうまくいく保証はどこにもない。業績が低迷して、5年後に株価が10分の1(1000円)に下がってしまったら、何が起こるだろうか?


あなたが5年前に受け取ったのが1万株の現物であれば、1億円の価値があった資産は1000万円にまで目減りし、9000万円の含み損を出すことになる。


しかし、あなたが実際に受け取ったのは、1万株を買う権利にすぎない。株価が下がったのであれば、そのときはストック・オプションの権利を行使しなければいいだけの話だ。あなたは1円たりとも損しないのである。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160625#1466850958
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160624#1466764500