30年前の、それもコダックというすでに退場してしまった企業の話だといってバカにすることはできまい。それは、アップルが、カメラの「質」を語るのに、「ユーザーの写真」を使いはじめたことからもわかるだろう。アップルやiPhoneであろうと、もはやそのブランド名だけでは、ユーザーを興奮させることはできなくなってきているのだ。iPhoneの質が高く、「本物」であることを示すために、わざわざユーザーの声を借りなければならなかった、とも言えるかもしれない。
「質」はユーザーに語らせろ――この戦略が、もし現代の有効手だとしても、そこには1つ大きな前提がある。それは、「本物」しか生き残れない、ということ。安易にトレンドに乗っかろうとして、製品やサービスの本当の価値より少しでも「盛って」しまうと、Huaweiのようにすぐにバレてしまう。結局は「質」を高めて、それに見合ったコミュニケーションができる企業だけが、ユーザーの共感を得られるのだ。