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インタビュー:トランプ勝利で米長期金利上昇へ=ダン・ファス氏 | ロイター

──金融市場は「トランプ・ショック」から思いのほか早く切り返し、リスクオンに転じた。


「米市場でも国債価格が5%も急落した。だが幸い、われわれのポートフォリオ保有債券のデュレーションを前もって短くしていたため、急落局面での痛手はかなり限定的だった」


「旗艦ファンド(ルーミス・セイレス・ボンド・ファンド(LSBDX.O))のポートフォリオ状況について言えば、年限の長い米国債のポジションを完全に閉じ、デュレーションを従来の半分に短期化していた。これは今回の選挙結果を予期していたのではなく、金利に上昇圧力がかかりやすいと見込んでいたからだ」


「昨日起きたのは投機ポジションの巻き戻しが中心だが、目先はシーソーのように上下動を繰り返しながら落ち着きどころを探るとみている。ブレグジットの時を参考にすれば、1週間ほどかかるだろう」


──米連邦準備理事会(FRB)は来月、本当に利上げできるか。


「基本的にはすると思うが、9日に米国債が5%も値を下げたのは大変大きな動きで、今後の推移に目を凝らす必要がある。トランプ・ショックの波乱が私の予想通り1週間で落ち着きを取り戻すなら、FRBは12月に25ベーシスポイントの利上げを行うだろう。混乱が続いていれば、利上げを見送るだろう」


「米国内では利上げを求める声が強まる一方、国際的には、利上げによりドル資金が新興国市場から米国に還流する可能性、ドル高が加速する可能性にも目配りしなくてはならない。FRBの責務として明示されているのは国内部分のみだが、ドルは世界最大の準備通貨であり、国内外のニーズをどうバランスさせるかはFRBが抱えるジレンマだ」


──2017年の米金利動向をどうみるか。


「実は選挙結果が出るまで、来年は年前半と後半に1回ずつ、計2回の利上げがあると見込んでいた。しかし今となっては、為替や資金フローの推移を見ないと分からなくなった」


「1年後の金利水準めどについては、従来予想を変えなくてはならない。この場で考えながらの数字だが、10年物国債利回りを2.75─3.0%としたい。選挙前は、2.25─2.5%を予想していた」


「超長期債については、金利上昇局面ではALM(資産・負債の総合管理)も関係するため予想が難しいが、それを除けば、30年物で従来予想より1%ポイント高い、4.0%を1年後の予想水準としたい」


金利がさらに上昇すると考える理由は2つ。まず、トランプ氏は減税、多額のインフラ投資をすると言っているが、私の目には、それは財政赤字の拡大と国債の増発を意味すると映る」


「次に、トランプ氏の示したインフラ投資プログラムが、雇用と需要を創出するというのは私も同感だ。FRBも、短期的には既に上がり始めているインフレ率に一段の上昇圧力がかかると考えるだろう」


──大統領選と並んで注目を集めた議会選では、上下両院ともに共和党が制した。


「トランプ氏は、歴代の多くの大統領と同じく、これから議会との付き合い方を学ぶことになる。上院は僅差で共和党が多数派となったが、トランプ氏は自分の党の重鎮との折り合いが悪い。議会対応がポイントとなろう」


「規制が多過ぎると主張するトランプ氏だが、ドッド・フランク法(米金融規制改革法)、特にボルカー・ルールの見直しに向けては、上下両院の一部メンバーから協力が得られるだろう。同法の解釈・適用をめぐっては金融業界などから不満の声も多い。市場の厚みを奪ってしまい、ボラティリティの原因となっている。改善されることに期待したい」


「一方、外交については大変懸念している。例えばメキシコとの関係は国内製造業にとっても重要であるし、日本との関係も重要だ」