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 東芝東京電力。日本の経済界を牽引してきた2つの名門企業が、軌を一にして国有化されようとしている。そしてそれは、「経団連日本経済団体連合会)の終わり」をも意味する。雇用の受け皿や利益創出の主役がサービス産業に移ったにもかかわらず、日本の政官財は重厚長大産業にしがみついてきた。だが東電、東芝亡き後の「経団連」はもはや、抜け殻に過ぎない。

「西室さんはね、土光さんになりたかったんですよ」


 西室をよく知る財界人の1人は、こう打ち明ける。東芝社長から経団連会長になり、第2次臨時行政調査会(いわゆる「土光臨調」)で快刀乱麻を断った土光敏夫は、「財界人の大勲位」と呼ばれる「勲1等旭日桐花大綬章」をもらっている。経団連会長になり桐花大綬章をもらうことが西室の悲願であったとされる。


 叙勲の位を決めるのは官僚である。官僚の覚えをめでたくするためには、財界活動を続けるだけでなく、古巣の東芝にも「国策」を忠実に遂行させる必要があった。西田、佐々木というアクの強い経営者を御せるのは西室だけであり、西室の意を受けて西田、佐々木は原発事業にのめり込んだ。


 西室は石坂泰三、土光敏夫に続く、東芝出身で3人目の経団連会長になりたかった。自分が3人目になれば、稲山嘉寛、斎藤英四郎、今井啓と経団連会長を3人輩出している新日本製鉄(現新日鉄住金)に並ぶ。「東芝を名門にする」という西室の野望が東芝を経営破綻の淵に誘った、と見ることもできるのだ。

 そもそも経団連の存在意義はリーマン・ショック以後、急激に小さくなっている。稲山や土光の時代のように、「財界総理」の一喝で政策が変わるなどという場面は絶えて久しい。政策提言といっても日本の将来を見据えたものではなく、「税金を下げてくれ」「補助金をくれ」「規制を緩めてくれ」と、ねだるばかりの陳情団体に堕している。経団連の時代はすでに終わっているのだ。


 コンビニエンスストア、外食などの流通サービス産業、食品メーカー、消費者団体などで構成する「国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)」会長の小川賢太郎(ゼンショーホールディングス会長)は、「日本のGDPの74%、雇用の70%、経常利益の65%を支えているのは流通サービス業」と言う。


 GDPに占める製造業の割合は、10年以上前に20%を割り込んでいる。製造業に軸足を置く経団連が雇用と納税額を減らし、それを埋めてきたのが流通サービス業、という構図なのだ。


 ここまでくると、政策の軸足をどこに置くかは自明だろう。「ものづくりニッポン」のノスタルジーに浸り、東芝再生に公的資金を投じても、雇用や税収は増えない。過去10年、経産省が主導した半導体、液晶パネル産業の再編はことごとく失敗し、数千億円単位の血税が無駄になった。


 繰り返すが、経団連はその役割を終えた。もはや重厚長大産業の輸出振興では日本は蘇らない。東電、東芝の事実上の経営破綻がその証明だ。経団連から生団連へ、大企業からベンチャーへと政策の軸を移さなければ、日本経済は東電、東芝とともに沈むことになる。

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