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シェールガスシェールオイルは、地下およそ2000メートルの深さにある「シェール層」と呼ばれる堅い地層に眠る天然ガス原油です。ガスやオイルを取り出す作業には、専用の「油田」が使われます。


ミッドランドでは、中断されていた「油田」の開発が続々と再開されているだけでなく新たな開発計画も進んでいました。開発を進める企業の担当者は「これから2か月で、およそ20の『油田』を完成させる。シェールをめぐる状況は去年までと全く違う」と興奮気味に話していました。


こうした動きは、アメリカ全土に広がっています。民間の石油会社の調査では、全米で採掘が行われている「油田」の数は、4月下旬の時点で870。1年前の420と比べると、倍以上に急増しているのです。

アメリカでのシェールガスオイルの採掘は、岩盤を砕く新しい技術が開発されたことで、2006年以降に本格化しました。原油の生産量が飛躍的に増えたことでアメリカを一時、世界トップの産油国に押し上げ、“シェール革命”と呼ばれました。ところが、2014年半ばからの原油価格の下落で、採算が取れなくなって経営に行き詰まる企業が相次ぎ、ブームにかげりが見えていました。


ではなぜ今、アメリカは再びシェールに沸いているのでしょう。 その理由は、原油価格が持ち直したことだけではありません。ことし1月に就任したトランプ大統領への期待も原動力となっているのです。エネルギー産業の復活を掲げるトランプ大統領は「エネルギー産業に対する規制が人々から仕事を奪っている」として、オバマ政権が「油田」の採掘に義務づけた大気汚染対策などの環境規制を撤廃すると主張しています。

現地の石油協会のステファン・ロバートソンさんは、「トランプ大統領が過剰な環境規制というシェール開発のブレーキを外してくれるという期待が開発の後押しとなっている」と説明します。トランプ大統領が規制を撤廃すれば、採掘コストの上昇に苦しんできた経営環境が改善されると見込んで、各企業が採掘の再開に動き出しているというわけです。

一方、4月から始まった家庭向けガスの小売り自由化で厳しい競争にさらされているガス会社も、シェール産業に熱い視線を送っています。都市ガス大手の東京ガスは、中東やアジアなどの5か国から天然ガスを調達していますが、安定的に天然ガスを調達するためアメリカからシェールガスを輸入することを決めました。現在、アメリカ東部のメリーランド州で、ガスを送り出すための施設の建設が急ピッチで進んでいます。

シェール産業はこのまま成長を続けていくのでしょうか。
現場で働く人たちが多く暮らす場所を訪ねました。そこで出会ったのは、マイケル・ブロジェットさんという男性です。ブロジェットさんは以前、オイルをくみ上げるポンプの管理などをしていましたが、シェール産業が不況に見舞われた2年前に解雇され失業しました。ブロジェットさんが口にしたのは不満でした。「8つの会社に連絡を取りましたが、履歴書を受け取ってもらえません」 必ずしも仕事が増えているわけではないと訴えたのです。


シェール産業が低迷していた時期、人件費削減のために採掘の監視など一部の業務で機械化が進んだことが影響しているようでした。また、現場で働く人たちの中には産業の先行きへの不安も聞かれました。「同僚と集まれば、必ずといっていいほど原油の価格が話題にのぼる。いつまた解雇されるかわからない」というのです。

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