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『総合的研究 論理学で学ぶ数学――思考ツールとしてのロジック | 旺文社』

P16

 数学には,機械的な計算という実用的な側面の他に,幾何の定理に典型的に見られる論証的な議論の組み立てと言う側面がある.自然科学に実験が不可欠のように数学では証明が不可欠である.数学には証明を構成するための論理が不可欠である.(略)
 このような,微妙な,しかし重大な論理的な区別を明確に行うことができるようにするための,教育の題材として数学は古代から用いられてきたに違いない.確かに,言葉(ロゴス)を正しく使うための論理(ロジック)を学習する上で,数学は,いつの時代にもふさわしいものである.
 しかるに,近代以降の数学の展開は,論証という最も知的な部分すら,計算的なプロセスに還元できることを示してきた.古典的な総合幾何の問題を,座標を用いた代数的な計算に還元する解析幾何はその典型である.
 そして, 19世紀に入り論証を支える論理そのものも,計算的に記述できることがわかってきた.重要な契機が2つある.一つは「でない」「かつ」「または」のような論理の基本構成要素を,演算としてとらえると,数学的な計算と変わらないことの発見であり,もう一つは, 「すべての……」「ある……」のような論理要素の記号化である.これらを通じて「アリストテレス以来進歩していない」(I.カント,1724-1804,ドイツ)と言われてきた論理学において飛躍的に発展が可能になった.
 数学は, 19世紀にこの新しい論理学の手法を自らの内に取り入れることによって,その基礎づけにおいて決定的に大きな一歩を記した.代数学の誕生は,記号論理学の誕生と密接に関連している.

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170606#1496745343数学的帰納法
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170606#1496745344(新たな事実を知ること以上に、その相互関係、因果関係を知ることがさらに重要であった。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170606#1496745345幾何学と論理学)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170602#1496400397(「数学史」と「数理哲学」の<実践的な統合>)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170528#1495968376デカルト座標系)

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