https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


 AIが社会課題に挑むときの利点は2つある。ひとつは、AIならではの「人間では到底不可能な、膨大な量のデータを分析できる」こと。もうひとつは、「人間が持つ感情バイアス、思想バイアスを完全に払拭できる」ことだ。現在のAIには「忖度」という概念がないので、人間社会の都合など関係なく、冷徹な結果を出してくる。


 ビジネスシーンと違って、社会課題と向き合うとき、人間は多分に感情バイアス、思想バイアスが働いてしまう。

 この状況に関して、破綻後に夕張市に移住し、この地域の医療を担った内科医で夕張市立診療所元所長の森田洋之氏はこう語っている。


*以下、西日本新聞の記事より引用


 市外の方からは「重症患者は市外に移り住んだんだろう」「市民は我慢しているのでは」と指摘を受けた。確かに子育て世代は流出した。だが75歳以上の後期高齢者は年々増加しており、腎臓病の透析患者数も減っていない。私がいた4年間で、高齢になって入院を希望する患者や家族に出会わなかった。市立診療所も年平均5、6床しか埋まらず、需要は低かった。


(中略)


 全国的に見ても1人当たりの医療費が高いのは、人口当たりの病床数が多い都道府県。最大で医療費は1.5倍、病床数は3倍の開きがある。医師会の多くは「医療費が高いのは医療体制が充実しているからで、一概に悪いとは言えない」と主張する。だが病床数の多さが、平均寿命や健康寿命を延ばすことにつながっていないことは調査で明らか。医療が人々の幸せにつながっていない。

 まず、製造業付加価値額が高くなるということは、製造業の景気が良くなるということだが、製造業の工場はおおむね地方都市にある。つまり製造業が元気になれば、地方都市で暮らす若者たちの就職口が増える。彼らにとっては、大企業の工場に就職できることは勝ち組に入ることを意味する。そして、地方都市はどこもクルマ社会だし、工場まで通勤するためにクルマは必要だ。また、地方在住のカップルはいまでも子だくさんが多い。子どもが3人、4人の家族など普通だ。


 つまり、製造業が元気だと、地元の若者は工場に正規雇用されるので、安心して結婚ができる。そして、地方在住のカップルは子だくさんだから、出生率も上がる。といった理屈だろう。

 そもそもラブホテル業界は、30年以上前から衰退している世界だ。80年頃には1日6回転していたラブホテルも、80年代半ばには3回転くらいまで落ちている。いまはもっと落ち込んで、1回転もしていないのではないか。だから、外国人向けの宿泊を受け入れている側面もある。つまり、Aiひろしにぶち込んだ30年分のデータは、ラブホテル業界衰退のデータであるはずで、そんなデータと女性活躍の間に意味のある相関関係を見いだせるのかは、はなはだ疑問である。


 ひとつ考えられるとすれば、ラブホテルの数が多いのは東京、大阪などの都市圏であり、地方に比べれば女性が活躍しやすい地域ということだ。これはたんに、女性が活躍している都市部ではラブホテルも多いというだけの話であり、ラブホテルを作ったからといって女性が活躍できるワケではないだろう。

 番組では、それを貧困と肥満の関係から説明している。貧困層のほうに肥満が多いのは、アメリカでも日本の厚労省の調査でも明らかになっている。経済が悪化すると家計も悪化し、健康的な食事ができなくなり、女子の肥満が増える。それが数年経つと、日経平均や離婚率などさまざまな指標となって現れるという説明だ。つまり、女子中学生のぽっちゃり度と男性の人生には何の因果関係もないが、ひとつのサインにはなるという話で、これは若干説得力がある。

 今回の番組、その狙いはおもしろいのだが、表現や分析に粗さが目立つ。「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」という表現はたしかにバズりやすい表現だが、伝えるべきことを正確に伝えていない。正しくは「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」のではなくて、「心ならずも40代ひとり暮らしを強いられる人生を歩んでいる人たちを生み出してしまった日本社会が日本を滅ぼす」のだ。


 ちなみに番組では触れていないが、40代ひとり暮らしが高齢化したときに必要となるのは、「コミュニティ」だと思う。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170723#1500807311
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170718#1500374294
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170718#1500374295