https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


 11月13日、皇居を望む東京・大手町のKKRホテル東京11階の「丹頂の間」で、安倍政権と密接に結び付いた最強の右派団体、日本会議会長の田久保忠衛氏や読売新聞グループ本社取締役最高顧問の老川祥一氏らを招いた講演会が開かれる。


 主催するのは、財団法人の「国策研究会」。聞き慣れないこの研究会は、日本が国際連盟から脱退した1933年に創設され、かつて首相の安倍晋三氏も理事を務めたことがある知る人ぞ知る保守系団体である。


 貴族院議員の大蔵公望氏をはじめ、東京帝国大学総長だった小野塚喜平次氏、東京帝大教授の美濃部達吉氏ら官民有志が参集し、「国策研究同志会」として発足したのが始まりだ。


 その後、列島を震撼させた二・二六事件を契機に陸軍省内務省などからの要請を受け、より実践的な研究団体として拡大改組され、名称も現在の国策研究会へと改称された。「第1次近衛内閣以降、小磯内閣に至る歴代内閣にも多数の同会関係者が入閣していた」(国策研究会)という。


 戦後は台湾ロビー、韓国ロビーの拠点としても注目を集めた。また、佐藤内閣下での「核拡散防止条約」の提言書や「日中国交正常化」の意見書を作成するなど、多くの政策提言を行ってきた。

 国策研究会を支えた幹部に矢吹一夫という人物がいる。代表常任理事など要職を歴任し、戦後は政界の黒幕として政治の舞台裏でも活躍した。評論家の大宅壮一氏からは「昭和最大の怪物」と称され、岸信介元首相の信任が厚く、日韓国交正常化交渉にも水面下で深く関わったとされる。


 こうした国士の系譜は連綿と引き継がれ、現在の国策研究会には、財界でも指折りの重鎮たちが多く所属している。次ページの図版は、国策研究会の幹部として名を連ねる主な企業首脳だ。

 初代の代表幹事は元大本営参謀の瀬島龍三氏。創設の趣旨では、「命を懸けて君国のために報じたエリートの集団としての伝統を引き継ぐ」とうたっており、かつて国家を率いたプライドがにじむ。


 創立総会では、元首相の福田赳夫氏が特別講演しており、以後、岸氏、中曽根康弘氏、海部俊樹氏、宮沢喜一氏、羽田孜氏、鳩山由紀夫氏ら多くの首相経験者が講師を務めてきた。


 財界との交流も図られ、松下幸之助氏(松下電器産業)、本田宗一郎氏(ホンダ)、盛田昭夫氏(ソニー)、堀田庄三氏(住友銀行)、小山五郎氏(三井銀行)、江戸英雄氏(三井不動産)、稲盛和夫氏(京セラ)など名だたる財界人が過去に講師を務めた。


 日本の右傾化が指摘される中、最近は積極的に発言、行動する右派団体が増えている。一方で、財界人が多く所属する保守系団体が表に出ることはほとんどない。むしろ指導層と結び付きながら、国益のために水面下で行動する傾向が強いといえる。

 すでに壊れた冷戦構造の残滓であるイデオロギーから現代を読み解くことを無意味と断じる向きもありますが、私はそうは思いません。日本では今、右派と左派のねじれが顕著で、そうしたねじれがあるところにこそ、社会の矛盾が凝縮されるからです。本特集では企業・経営者の保守人脈から「自称リベラル」の真実まで、左右にまつわる事象を硬軟織り交ぜてお届けします。

#政界再編#二大政党制