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「金融政策をめぐって内外でいろんな議論が行われ、意見が鋭く対立するケースが過去にもありました。なぜ意見の違いが生じるのかと考えると、中央銀行の役割について、人々の理解のしかたが違うことに起因していると感じたのです」(白川氏)

「為替レートが決まるうえで一番大事な要因は、日本と海外の内外金利差ですよね。日本は当時、短期金利ゼロ、長期金利ももうすでにかなり低い状態。一方、海外の金利は高い水準。このような状況で金融危機が起きて各国が金利を下げるとどんなに日本銀行が頑張っても金利差は拡大しない。金融危機が起きたときに日本はそういう位置にいたということなのです」(白川氏)

そして、2012年秋ごろから円安方向にふれたのは、ユーロ危機の収束とタイミングがほぼ一致していることが大きな要因だと白川氏は説明します。

「金融緩和策とは、経済に大きなショックが加わったときに、できるだけ経済の変動を小さくするために行う政策です。この政策自体は本質的には将来の需要を現在に持ってくるという政策なんですね。需要の先食いですから数年間は頼れるけれど、ずっとは頼れないのです」

白川氏は、ある経営者からの言葉が忘れられないといいます。

「金融緩和で世の中にお金を供給すれば経済が成長するという議論を聞くたびに、経営者としての自分の仕事は一体何なのかと自問してしまう」というのです。

「自分が努力せず、成長するということではなく、ニーズを把握し、コスト削減して最後に利益を出して雇用につなげていく。この集積が経済成長です。中央銀行は民間の活動をサポートする、安定した金融インフラをつくる仕事なのです」(白川氏)

「進行している少子高齢化と人口減少という変化に対して、本来変えないといけないのに、経済、社会の仕組みが適合できていない、あるいは遅れているところに日本経済の抱える問題の原因の1つがあったと思うんですね。これは金融政策では解決できない問題です。金融緩和策は必要な政策ではあるけれど、この政策をやっているうちに、だんだん物事が見えにくくなってきて、何が本質的な問題なのか、分からなくなる。それが大きな副作用でコストだと思います」

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/22/200420(「経済問題の答えは金融政策にない」白川日銀前総裁)