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 猫を飼っている人にならわかってもらえるだろうが、猫と暮らしていると、知らず知らずのうちに猫に話しかけてしまうことがある。
 そんな時、猫は必ずあなたの話にじっと耳を傾けてくれる。


 人間はこんなにも共感のまなざしをもって他人の話を聞けるだろうか。こんなにも他人を思いやれるだろうか。
この点でも人間は、猫の足元にも及ばないと認めざるを得ない。


 人間はその人のために本当に役に立ちたいと思っていても、自分の問題に手いっぱいになっている時は、どうしても自分の気持ちが先に立ってしまう。他人の立場に立って真剣に話を聞いてあげることなんて、なかなかできない。


 でも、猫は違う。
 いつも私たちを見守っていて、何も言わなくても私たちの苦しい心の内をよくわかり、安心していいんだと言ってくれているように見える。
 人間の心理カウンセラーは、黙って患者の話を聞く。しかし猫は、ただうなずいて話を聞いているだけのカウンセラーなんかよりもっと、私たちの悩みを理解してくれているように思える。
 そして、そのまなざしで「大丈夫、それも過ぎ去っていくから」と繰り返し、私たちの心のすきまを埋めていってくれるようだ。


 相手の話を、相手の気持ちになって聞く。
 この点でも私たちは、一から猫に学ばなければならない。私たちは自分のことだけで余裕がなくなり、他人へ差し伸べる手、傾ける耳をもてないことがよくある。
 人の話を真剣に聞く時、私たちはそうとは知らず、与えるものと同じくらいの恩恵を相手からも受け取っているものなのだ。