「感性」だけで見るのをやめると、美術鑑賞はもっと面白くなる - 世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」 https://t.co/4M2Udxqplb
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2018年1月27日
たとえば、有名なナポレオンの肖像画「ボナパルト(ナポレオン)のアルプス越え」の背景には、当時のナポレオンの政治的意図が隠されています。この肖像画は、ナポレオンが皇帝になる前にジャック=ルイ・ダヴィッドに描かせたもので、白馬に乗って峠を越えるナポレオンを描いています。
しかし実際は、舞台となった峠は馬で越えられるような場所ではなく、ナポレオンもラバに乗って峠を越えました。それにもかかわらず、国家元首の象徴でもある白馬の騎馬像で前脚を跳ね上げさせ突撃の命令を下しているところから、これがナポレオンのイメージ作りのための作品だったことがわかります。
また、舞台になったのはアルプスのサン=ベルナール峠で、この場所自体がヨーロッパの中央を制圧したことを象徴しています。足もとの岩には同じようにアルプスを越えてイタリアに進軍した英雄たち、古代カルタゴの将軍ハンニバルと中世のローマ皇帝シャルルマーニュの名が刻まれています。