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 安倍首相ともっとも近いのは本田である。大蔵省の銀行局の若手の時、若い安倍と親しくなり、安倍も海外の本田を訪ねている。海外勤務ののち、財務省を離れ、静岡県立大学に就職する。デフレには金融緩和を、という考えはニューヨーク連邦準備銀行で学んだという。かれが想定する経済の波及は、金融緩和→円安→株価上昇→企業業績改善→賃金増加→物価上昇というものである。


 浜田は東大からエール大学に移った人で、内閣府の研究所の所長の時、安倍を知る。浜田は学者である。それゆえ、かれの主張には理論がある。それは何か。それは容易にわかる。「為替が固定相場制のもとでは財政政策が有効、変動相場制のもとでは金融政策」というマンデル・フレミング理論であろう。この理論の適用として、自信を持って金融緩和政策を主張したのである。


 ここで生まれる疑問は、安倍が自民党総裁就任直後から言っている、金融緩和によって物価上昇二%とか、二%のインフレターゲットとかは、これらの人々からは出てこないこと。誰の影響か。この本にはないが、岩田規久男学習院大学名誉教授は、当時安倍のところに行きこの持論を進言している。やがて日銀総裁として登場する黒田がこれに加わる。政策としての国債大量買い入れは、この二つの考えの上に立っている。


 日銀が銀行保有国債を大量に買い入れても、銀行は、受けとった金を、日銀の当座預金として積み立てておくだけなことは、統計を見れば一目瞭然である。それゆえに多くの人は、黒田の政策は意味がないという。


 マンデル・フレミング理論は、岩波書店『現代経済学事典』を見れば明白。通貨増→利子率低下→投資増→経済拡大である。この利子率低下が投資を増やさないので、イギリスケインジアンはこれを否定する。


 だが現実は、円高を円安に変えた。第三の政策が行われたにちがいない。


 アメリカの財務当局は、日本が為替介入しだしたのではないかと疑う。日本は介入はしていない、国内政策としてデフレ対策を行っているに過ぎないと反論する。


 駐米大使がFRB議長バーナンキを訪れ、日本がとっている政策を説明するくだりは面白い。


 フリードマンに心酔しているバーナンキは単なる通貨供給の増加と考える。ドイツのショイブレ財務相(当時)は為替介入を疑っている。


 日銀は、二%の物価上昇のために、どの程度の国債購入が必要かをシミュレーションしたと本書は書く。本当か。できるはずがない。


 現実は株価が上がり、円安になっていく。何がこうした動きをつくりだすのか、真の犯人をさがす面白さを、この本は味わわせてくれる。


 株価を上げ、為替を動かす力を持っているひとつは「年金積立金管理運用独立行政法人」である。現在、約一三〇兆円の資金がある。本書の終わり近くにいくども出てくる。この巨額な資金の運用の改定が行われている。それを追及してほしかった。


政府は、今月19日に任期を迎える日銀の2人の副総裁の後任として早稲田大学の若田部昌澄教授と、日銀の雨宮正佳理事をあてる人事案を国会に提示し、これを受けて2人の候補者は5日、衆議院議院運営委員会に出席しました。


この中で若田部氏は「デフレからの完全な脱却を目指すというこれまでの金融政策の基本的なスタンスを継続すべきだ。時期尚早に政策を変更してデフレに逆戻りするリスクは避けなくてはならない。デフレからの完全脱却を前に出口政策を行うことは避けなければならない」と所信を述べ、2%の物価目標の実現に向けて大規模な金融緩和を続けることが重要で、デフレ脱却を果たすまで緩和を縮小する「出口政策」に踏み出すべきではないという考えを強調しました。


そのうえで若田部氏はこのあとの質疑で「2%の物価目標の達成のために現状の政策が十分かどうかを適切に評価し、必要ならば追加緩和を提案するということになろうかと思う」と述べ、現在の政策で目標の達成が難しければ追加緩和も辞さない考えを強調しました。


そして、物価目標の達成のために必要な政策を問われた際、若田部氏は「デフレから完全脱却するというコミットメントの再確認が必要だと思う。これは政府と日銀の共同声明が出発点になっており、これを堅持する、場合によっては改善するということが必要だと思う」と述べ、5年前に政府・日銀が、デフレ脱却に向けて決定した「共同声明」をあらためる可能性にも言及しました。


一方、大規模な金融緩和を実務面で支えてきた日銀の雨宮氏は、今の政策の副作用について問われ、「資産価格が行き過ぎるリスクや金融機関の経営に与えるマイナスの影響などの副作用が考えられるが、今のところ全体としては政策の効果が上回っている。効果と副作用の検討や評価は引き続き注意深く行っていく」と述べ、副作用に目配りしつつ金融緩和を続けていく考えを示しました。

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#リフレ#アベノミクス