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この事件は、ことし3月4日、イギリス南部のソールズベリーで、ロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパルさんが娘のユリアさんとともに意識不明の状態で見つかったものです。


警察は、ロシアが開発した神経剤「ノビチョク」を使った暗殺未遂事件として捜査を進め、5日、いずれもロシア国籍の男のアレクサンドル・ペトロフ容疑者とルスラン・ボシロフ容疑者を特定し、逮捕状が出されたと発表しました。


また、警察は、2人の顔写真や事件前後の足取りを示すものだという写真を公開しました。


調べによりますと、2人の容疑者は、ことし3月2日にロシアから空路イギリスに入り、スクリパルさんらが意識不明の状態で見つかった3月4日には、スクリパルさんの自宅近くを歩いていたことが確認されました。


そして、2人はこの日のうちに空港に向かい、夜の便でモスクワに向かったということです。


また、この暗殺未遂事件とは別に、ことし6月にはソールズベリー近郊で「ノビチョク」に触れた男女2人が意識不明となり、のちに女性が死亡するという事件が起きていて、警察は5日の会見で、有名ブランドの名前が入った香水のビンから大量の「ノビチョク」が見つかったと明らかにしました。


一連の事件をめぐり、イギリス政府はロシアが関与したと非難してきたのに対し、ロシア政府は関わりを否定し、両国関係の悪化につながりました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は5日、「クレムリンの立場はなにも変わらない。新たな情報は何もない」と述べ、ロシア政府は事件とは無関係だと改めて主張しました。
そのうえで、イギリスの警察に対して、事件の捜査にロシアの捜査機関を加えるよう求めました。

この事件に関して、イギリスのメイ首相は、5日、議会で、容疑者の2人の男はロシア軍の情報機関の所属だと結論づけたことを明らかにしました。
そのうえで、「ロシア軍の情報機関は規律の厳しい組織であり、今回の事件は個人の勝手な行動ではない。軍を超えた、国家の高いレベルに承認された行動だと考えられる」と述べて、改めてロシア政府を非難しました。

アレクサンドル・ペトロフ容疑者とルスラン・ボシロフ容疑者が所属していたとされるロシア軍の情報機関は、GRU=ロシア軍参謀本部情報総局です。


海外の大使館や国内外の軍事拠点などに要員を配置し、周辺国の軍事や外交に関する情報収集にあたるほか、ウクライナやシリアといった紛争地に特殊部隊を派遣し、武力を伴う作戦を遂行することもあります。


イギリスで命を狙われたロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパル氏は、このGRUに所属しながら、イギリスの対外諜報機関に情報を提供した疑いで、2004年、ロシア連邦保安庁に逮捕されました。


そして2010年、アメリカとイギリスが拘束していたスパイと身柄を交換する条件で釈放され、イギリスに亡命していました。


国連の安全保障理事会では、イギリスの要請を受けて6日、会合が開かれ、イギリスのピアース国連大使は、ロシアが化学兵器の使用を禁止する国際規範と違う世界で動いていると批判しました。


そのうえで、ピアース国連大使は「制裁を含む最善の方法を駆使してわれわれの社会に対する脅威を取り除く必要がある」と述べ、ロシアへの制裁措置をとる可能性を示唆しました。


これに対してロシアのネベンジャ国連大使は「根拠のない嫌疑を断固拒否する。反ロシアのヒステリーだ」と述べて、強く反発しました。


さらに、両国の大使が他の理事国や傍聴席の外交団に向かって互いの主張への支持を訴える一幕もあり、対立が深まっています。