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ホワイトハウスのサンダース報道官は14日、トランプ大統領は、新たな予算案に署名する。同時に国境地域での安全保障と人道的な危機に対処するため、非常事態宣言を含む大統領の権限を行使する」という声明を出し、公約であるメキシコ国境沿いの壁を議会に諮らずに大統領権限で建設するため「非常事態宣言」を出すことを明らかにしました。

トランプ大統領は、与野党が先に合意した新たな予算案について、公約である壁の建設費が十分に盛り込まれていないことから「満足していない」と述べていましたが、最終的に、予算案に署名することにしました。

暫定予算案の期限の15日までに次の予算が成立すれば、先月まで1か月以上にわたった政府機関の閉鎖が再び起きる事態は避けられる見通しです。

ただ野党・民主党「議会の承認を得られないからといって非常事態を宣言するのは大統領の権力の乱用だ」と繰り返し指摘し、民主党ペロシ下院議長は、非常事態宣言には法的手段で対抗する構えも示しているため、波乱も予想されます。

非常事態の宣言は大統領が国の安全に関わる緊急事態などへの対応を迅速に取る必要があると判断した際に、議会の承認を経ずに行えるようにする行政手続きの1つです。

過去には、2001年の同時多発テロの直後に出されたほか、外国での紛争や人権侵害に対して制裁措置を取る際にもたびたび使われています。

トランプ政権では去年、中間選挙の際、外国から選挙への干渉があった場合に制裁を科すために前もって非常事態宣言が出されたほか、中米ニカラグアで起きた混乱への対応などでも使われています。

また法律では非常事態が宣言されれば国防長官や陸軍長官が「国防のために必要な建設工事」の実施をアメリカ軍に命じることができると定められています。このためトランプ大統領は非常事態を宣言することで野党・民主党の抵抗にあう議会の承認を経ずにアメリカ軍に壁の建設を命じるとみられます。

これに対し野党側は「国境の状況は、決して緊急事態とはいえず、議会の承認を得られないからといって非常事態を宣言して軍に壁を建設させることは違法だ」としていて、宣言が出た場合、その違法性を問う訴訟に発展することも予想されています。

アメリカのホワイトハウストランプ大統領が新たな予算案に署名したうえで「非常事態宣言」を出す方針を明らかにしたことについて野党・民主党ペロシ下院議長は14日、記者団に対し、「国境で起きていることは非常事態ではなく、人道上の課題だ」と述べて反発しました。

そのうえで「われわれの選択肢を検討する」と述べ、非常事態宣言に対して法的手段を取ることも含め、対応を検討する考えを示しました。

今回の非常事態宣言については野党・民主党や一部の専門家から法律違反にあたる可能性が指摘されています。

非常事態宣言に関連する国防関連の法律の規定では、非常事態宣言が出されれば国防長官や陸軍長官がアメリカ軍に国防のために必要な建設工事を命じることができると定められています。

このためトランプ政権としては非常事態宣言を出せば法律上、議会の承認を経ずにアメリカ軍に壁の建設を命じることが可能になると解釈しているとみられます。

これに対し野党・民主党は「国境の状況は決して非常事態とはいえない」として、不法移民をめぐる問題が国の安全保障に関わる非常事態だとするトランプ大統領の主張は妥当ではなく、法律上の非常事態にもあたらないという見解を示しています。

また非常事態宣言を受けてトランプ政権が大統領権限で既存の予算を転用できるかどうかについては、一部の法律の専門家が「予算の策定は連邦議会の役割だと定める憲法に違反する可能性がある」と指摘しています。

実際、非常事態宣言について野党・民主党だけでなく与党・共和党の一部の議員からも「議会の承認を経ずに大統領の独断で予算を執行できる先例をつくってしまえば、議会の軽視につながるおそれがある」という懸念が示されています。

トランプ政権の政策を巡ってはこれまでも中東などからの人の入国を制限する大統領令などで違憲裁判が起こされ、たびたび司法の場で争われています。

このため今回も非常事態宣言が出されれば、その違法性を問う訴えが起こされることも予想されています。

さらにこれらの裁判で裁判所が非常事態宣言による壁の建設の一時的な停止を命じる仮処分の決定を出せば、最高裁判所で最終的な判断が下されるまでに数か月から数年かかる可能性も指摘されています。

また今回のトランプ大統領の手法を巡っては共和党の一部の議員から民主党政権になった時に逆利用される可能性があるとして、将来、銃規制や地球温暖化など議論のある問題で時の政権の主張に沿った強権的な政策がとられるおそれにつながるという指摘も出ています。

非常事態宣言が出されれば立法や司法の府を巻き込んだ大きな議論を呼び起こすことになりそうです。

非常事態宣言は国の安全に関わる非常時に大統領が議会の承認を経ずにみずからの権限で迅速に措置を取れるようにする行政手続きで、1976年に制定された「国家非常事態法」で定められ、これまでに58回出されていますが、その多くは外国での紛争時やテロ対策、人権侵害などで関係者の資産凍結や取り引きを禁じる制裁措置を発動するために使われています。

また2001年の同時多発テロでは当時のブッシュ大統領が国内でのアメリカ軍の迅速な運用を可能にするために宣言を出したほか、2009年にはオバマ前大統領アメリカで急速に広がった新型インフルエンザへの対応で医療機関の態勢を強化するために出しました。

トランプ大統領も去年9月、中間選挙に先立って外国から選挙への干渉があった場合に迅速に制裁を科すために宣言を出したほか、去年11月には中米ニカラグアで多くの死者を出した反政府デモへの資金供給を止める目的でも発出しています。

ただ今回のように大統領がみずから求める政策が議会で認められなかったためにこれを実現させる手段として一方的に非常事態宣言を利用した例は過去に一度もなく、極めて異例です。
また法律の規定では非常事態宣言が出されれば、アメリカ軍に国防のために必要な建設作業を命じることができるほか、目的のために既存の予算を転用することも認められています。

このためトランプ大統領としては宣言を出すことで、必要な予算を捻出させたうえでアメリカ軍に壁の建設を担わせることを検討しているとみられています。