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アメリカでは、トランプ大統領が要求していたメキシコとの国境沿いの壁の建設費をめぐる与野党の対立で新たな予算が成立せず、政府機関の一部が1か月以上にわたって閉鎖されました。

アメリカの議会予算局は28日、閉鎖に伴って政府の支出が減少したことなどによる経済への影響について試算を公表しました。

それによりますと、GDP=国内総生産の成長率は、去年10月から12月までの第4四半期が当初の試算よりも0.2ポイント押し下げられ、ことし1月からの第1四半期も0.4ポイント押し下げられるとしています。

ただその後は支出の遅れが解消されて、ことし2019年の通年のGDPは0.02%押し下げられるという見通しを示しました。

この結果、政府機関の一部閉鎖による最終的な経済損失は30億ドル(3000億円余り)となるとしています。

政府機関の一部閉鎖は今月25日でひとまず解除されたものの、壁の建設費をめぐる対立は先送りされた形で、暫定予算の期限が切れる来月15日に向けて与野党の協議の行方が注目されます。

アメリカの商務省は、1か月以上にわたって政府機関が一部閉鎖されていた影響で、今週と来週に予定している経済統計の発表を延期することを明らかにしました。

このうち今月30日に予定されていた、去年10月から12月までのGDPの成長率の速報値も発表が遅れるとしています。

そのうえで、閉鎖は解除されたものの28日から統計の取りまとめ作業を再開したばかりで、新たな発表日はまだ設定できないとしています。

アメリカでは、大統領が今後1年の施政方針を国民に訴える一般教書演説は、議会下院の本会議場で行うことが慣例ですが、野党・民主党ペロシ下院議長は政府機関の一部閉鎖を理由に、当初、今月29日に予定されていた演説の延期を求めていました。

先週、政府機関の一部閉鎖が解除されたことを受けて、トランプ大統領ペロシ下院議長は28日、一般教書演説を来月5日に行うことで合意しました。

ただ、政府機関の閉鎖はひとまず解除されたものの、トランプ大統領民主党側と合意したのは来月15日までの3週間の暫定予算案で、壁の建設が必要だという立場は崩していません。

トランプ大統領は、その間に壁の建設費をめぐって合意できなければ再び政府機関を閉鎖するか、議会に諮らずに大統領権限で行政措置をとる「非常事態宣言」を出す可能性も示唆していて、双方の立場の隔たりは大きいままです。

壁の必要性をめぐって民主党と対立が続く中、トランプ大統領がどのような演説を行うのか関心が集まっています。

アメリ憲法では、「大統領は、折に触れて議会に国家の現状(StateoftheUnion)を説明しなければならない」と定められており、大統領は連邦議会に対して、国の現状について報告し、施政方針を示す憲法上の義務があります。

ジョージワシントン大学の准教授で、アメリカ政治が専門のマイケル・コーンフィールド氏は、NHKの取材に対し「一般教書演説は憲法上の規定に基づいたものだが、アメリカ政治の中で重要な儀式へと発展している。演説の内容そのものよりも、大統領の演説のやり方や、みずからの政策についてどのように説得力をもって語るかが注目されることが多い」と指摘しています。

全米にテレビで中継される一般教書演説は、大統領の一挙手一投足が注目される重要な政治イベントで、歴代の大統領はスピーチライターとともに直前まで推こうを重ねて本番に臨んできました。

一方で、憲法に基づく演説とはいえ、議会への説明の方法については規定されていません。

第二次世界大戦以前は、多くの場合、一般教書は、書面として議会に提出されるケースが多く、演説の形式を取る大統領はむしろ少数派でした。

しかし1933年から唯一、大統領を3期にわたって務めたフランクリン・ルーズベルト大統領が議会で演説を行ってからは、すべての大統領が同じ形式を踏襲しています。

一般教書演説は、議会下院の議場で行うことが定例化し、演説に先立って、上下両院で全会一致の決議を経て大統領を議会に招待するという手続きが慣例となっています。

演説の際は、出席する議員らが与野党を問わず、大統領に拍手を送るなど、超党派で大統領を迎える政治イベントともいえます。

しかし、今回の攻防では、民主党が多数派を握る議会下院のペロシ議長は、過去最長の政府機関の一部閉鎖が続いていることを理由に、トランプ大統領を議会に迎えるための議決をしない姿勢を示しました。

これについて、コーンフィールド准教授は「一般教書演説が延期されたり、書面で議会に提出されたりした例はあるものの、大統領と下院議長の権力闘争の材料となったのは前代未聞だ」と指摘しています。

1986年にレーガン大統領が演説を予定していた当日に起きたスペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故を受けて1週間延期した以外は、これまでに一般教書演説の予定が変更されたことはなく、今回の延期は、極めて異例の事態です。

コーンフィールド准教授は「トランプ大統領は政府機関の閉鎖という大きな間違いを犯した。アメリカ国民のほとんどが注目しないような問題をワシントンでの政争の具として持ち出した結果、国民の生活に悪影響を与えている。演説の日程をめぐる攻防に敗れたことも一因して、世論調査ではトランプ大統領は支持を失う一方で、ペロシ議長は支持を集めている」と話し、政府機関の閉鎖とそれに伴う一般教書演説の延期が今後、トランプ大統領にとって不利に働くのではないかと指摘しています。

2016年の大統領選挙にロシアが干渉したとされる「ロシア疑惑」をめぐっては、トランプ陣営とロシアとの共謀がなかったかなどについてモラー特別検察官が捜査を進めています。捜査を統括するウィテカー司法長官代行は28日、記者会見で捜査の進捗状況について詳しく報告を受けていると説明しました。

そのうえで、「捜査は終結に近いと思う。モラー特別検察官からの報告書をできるだけ早く受け取ることを望んでいる」と述べ、特別検察官が捜査結果をまとめた報告書が近く、司法省に提出されるとの見通しを明らかにしました。

一連の捜査では、これまでにトランプ陣営の元幹部や、ロシアの情報機関の関係者など30以上の個人や団体が起訴されていて、捜査が大詰めを迎えているとの見方が出ていました。

トランプ大統領は、繰り返しロシアとの共謀を否定していますが、今月24日には、トランプ陣営の元政治コンサルタントで、疑惑の解明のカギを握るとされるロジャー・ストーン被告が起訴されており、捜査の行方に関心が集まっています。

いわゆる「ロシア疑惑」をめぐり、アメリカのメディアは28日、トランプ大統領の元顧問弁護士、マイケル・コーエン氏が、野党・民主党の求めに応じて、来月8日に議会で証言すると伝えました。

アメリカのメディアによりますと、証言は議会下院の情報特別委員会で非公開で行われ、大統領選挙中に、トランプ氏の会社が手がけていたモスクワでの高層ビル事業などについてコーエン氏が証言するとみられます。

議会での証言をめぐり、コーエン氏は今月23日、「トランプ大統領から脅迫を受けている」としていったんは延期する考えを示していましたが、民主党側は証言の実現に向けてコーエン氏側と協議を続けてきました。

トランプ大統領の長年の腹心とも言われるコーエン氏はロシア疑惑の解明に向けカギを握る1人とされており、疑惑の捜査が大詰めを迎える中、議会下院で多数派を握る野党・民主党は大統領への追及を強める構えです。