https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

昭和41年に今の静岡市清水区で会社役員の一家4人が殺害された事件では、死刑が確定した袴田巌さん(83)が無実を訴えて再審を申し立てています。

静岡地方裁判所が5年前、DNA鑑定などを基に再審とともに釈放も認めましたが、去年、東京高等裁判所は逆に再審を認めない決定を出し、弁護団最高裁判所に特別抗告しています。

釈放から5年となる27日、袴田さんを支援するグループの17人が最高裁判所を訪れ、「高裁がDNA鑑定の信用性を否定したのは誤りで、最高裁は直ちに高裁の決定を取り消すべきだ」として、再審を認めるよう求める要請書と3万6000人余りの署名を提出しました。

支援者の寺澤暢紘さんは「早く再審を始めるべきだという市民の意見が多く寄せられていると最高裁に伝えた。一刻も早く袴田さんが普通の市民に戻れるよう、今後も支援していきたい」と話していました。

昭和60年1月、当時の熊本県松橋町、今の宇城市の住宅で59歳の男性が刃物で刺され殺害された事件では、熊本市の宮田浩喜さん(85)が殺人などの罪で懲役13年の刑が確定し、服役しました。

宮田さんは無実を訴えて再審=裁判のやり直しを求め、裁判所は、自白と客観的な事実が矛盾していることなどから再審を認めました。

先月開かれたやり直しの裁判では、過去に有罪を認定する根拠となった自白調書や凶器とされた小刀に関する資料などは証拠として採用されず、検察は有罪の立証や求刑を行いませんでした。

28日の判決で熊本地方裁判所の溝國禎久裁判長は「自白の重要部分に客観的事実との矛盾があるという疑義が生じ、信用性が否定された。犯人であることを示す証拠はなく、被害者を殺害したとは認められない」と指摘しました。

そのうえで「確定判決から非常に長い年月が経過していることなどを踏まえると、自白の信用性を改めて検討する必要性があるとは考えられず、可能なかぎり速やかに判決を言い渡すことが最も適当だ」として無罪を言い渡しました。

元裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は、再審が認められるケースが増えている背景について、「10年前の裁判員制度の導入に伴い、裁判の前に争点を整理する手続きが新たに始まり、検察官が持つ証拠を弁護側に開示することが法律で認められたことが大きく影響している」と指摘しています。

そのうえで「今回のような昔の事件では、当時、検察官が証拠の開示を断るなどして開示が行われることはほとんどない状況だった。しかし現在の裁判で証拠の開示が行われるようになったことを受けて、再審が申し立てられた昔の事件についても裁判所側が現在と同じように開示するよう説得し、検察官も応じざるをえない状況になってきている。今後も証拠の開示によって今までなかった客観的な証拠が明らかになり、再審の開始につながるケースが出てくるのではないか」と話しています。