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また、2017年の調査では、アメリカの成人の約半数が、今後50年以内にロボットとセックスするのが一般的な慣習になると予想している。このことからすれば、この市場は、今後もさらに成長するものと予想される。

セックス・ドールやラブ・ドールは、その大半が男性向けのものだ。しかし、2018年には、Realbotix社が女性向けのセックス・ロボット「Henry」を正式にリリースする準備ができたと報じており、ディルドなどのセックス・トイ同様に、女性のニーズに応える商品開発も進められている。

しかしながら、セックス・ドールやラブ・ドール、あるいは、それらの発展形態としてのセックス・ロボットに対しては、それを肯定する者と、批判する者の間で、目下、激しい議論が巻き起こっており、単にプライベートな事柄として済ますわけにはいかないようだ。

目下、私たちが「セックス・ロボット」と呼んでいるのは、シリコン製のドールの中身を機械化し、コミュニケーションを可能にするプログラムを組み込んだ機械人形のことだ。市販されているセックス・ロボットは、スチール製の関節とシリコン製の肌を持ち、音声作動プログラムが内蔵されているものが大半だ。

だが、中には、私たちが想像するよりもはるかに高度なロボットもすでに存在している。TrueCompanion社が販売している男性型ロボット(Rocky)や女性型ロボット(Roxxxy)は、容姿をカスタマイズできるだけでなく、所有者のタッチに反応する機能や、人工知能アプリケーションを通じて所有者の好き嫌いを学び、所有者の好みに近づくようにプログラムされている。

このようなセックス・ロボットに対する批判は、大別すると、二つの観点から提起されている。

第一の観点は、セックス・ロボットを作り、促進するアイデアや実践それ自体を問題にするもので、その意味では、ロボット以前のドールにも当てはまるものだ。

第二の観点は、ロボットの性能や機能を問題にするもので、セックスを含めた親密な関係の相手となる、ロボット自体が備えておくべき道徳性を問うものだと言える。

先に述べたように、批判者たちは、所有者は、セックス・ロボットやドールを性的欲望のはけ口として暴力的かつ抑圧的に扱うはずだから、それが現実の他者との関係も悪化させる要因になると考えていた。しかし、この調査の成果は、そうした想定が必ずしも正しいとは限らないことを示唆している。

所有者たちは、セックス・ロボットやドールを単なる性的な対象と見てはおらず、性的な関係は彼らの関係の一部にすぎないようなのだ。調査を主導した研究者たちは、むしろ、彼らの関係は、「愛情」や「仲間意識」によって特徴づけられており、所有者の孤独を癒やすことはあっても、対人関係や他者への共感を必然的に破壊するというものではないと述べている。

この調査でさらに興味深いのは、所有者たちが、高機能ロボットと交換することにも、ロボットをさらに機能向上させることにも否定的だったということだ。彼らは、所有するロボットに愛着を感じており、入れ替え不可能な相手と見なしていたわけだ。

パートナー・ロボットを高度化することは、パラソシアルな関係を、ある部分、双方向なものに変えることを含んでいる。ロボットが、SF的な意味で自律化するようになれば、それは一層顕著になるだろう。それは、ロボットとの非対称的な愛の関係を、つまり、一方的な思い入れを、人間同士の関係と同じように対称的なものに変えることを意味する。

そうなれば、人間とロボットとの性的な関係にも、おそらく同意や不同意が必要とされるようになるだろう。ロボットやドールとのセックスを「レイプ」と見なす論者もいることを考えると、こうした方向を望ましいと言うのはたやすい。

しかし、その時、セクシャル・ヘルスの市場やロボット市場は、どのようなものになるだろうか。先に挙げた調査への参加者たちと同じように、孤独を癒やすことを求める人びとや、人間関係に疲れた人びとが増えるなら、ロボットを技術的な面で人間化する方向は、市場においては失敗することになるだろう。

ロボットがSF世界のように自律化する未来が来ても、本当に人びとが求めるのは、パラソシアルな関係を築ける稚拙なロボットなのかもしれない。