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裁判員制度は、平成21年5月21日に始まり、21日でちょうど10年を迎え、去年末までに全国で1万1700人余りの被告に判決が言い渡されました。

最高裁判所は、平成24年6月以降の裁判員裁判による判決と、制度が始まる前の裁判官だけによる判決について、2年おきに区切って刑の重さの分布を調べました。

その結果、殺人事件は、裁判官だけの500件余りのうち最も多かったのが「懲役11年を超えて13年以下」でしたが、裁判員裁判の1000件余りでは「懲役13年を超えて15年以下」が最も多く、刑が重くなる傾向がみられます。

性的暴行の事件も刑が重くなる傾向がみられ、裁判官の裁判で最も多かったのが「懲役3年を超えて5年以下」だったのに対し、裁判員裁判では「懲役5年を超えて7年以下」となっています。

一方で、放火事件では刑が軽くなる傾向がみられます。

また、執行猶予のついた判決のうち、被告の立ち直りを支援する「保護観察」がついた割合は、裁判員裁判で55.4%と、裁判官だけの頃よりも20ポイント余り増え、被告に社会の中で立ち直ってほしいと期待する傾向が強まっていることがうかがえます。

最高裁はこうした傾向について、「裁判員を務めた国民の多様な視点や感覚が反映された結果といえる」としています。

元裁判官で刑法に詳しい法政大学法科大学院の水野智幸教授は、「刑事裁判は、国民の感覚に合っていないと信頼されない。量刑が重いほうにも軽いほうにも広がる傾向にあるということは、国民の素直な感覚が、判決に反映した結果だと言える。おおまかな刑の幅を元に、被告の生い立ちや反省状況などを踏まえて裁判員に微調整してもらうというやり方が固まってきた。これをきちんと続けていくことが求められている」と話しています。

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